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TAKKYU ISHINO (TOKYO) ああなんとか間に合った~とstaffの彼女に 電話して彼らの居るところに走って行く 2013.07.16UP

先週は南米出身のアーティストに着目してご紹介しましたが、今回は北にグググと上りロシアへ。近年目覚しい勢いで発展を続けるロシアのクラブシーン。デビューから瞬く間にスターの座に上り詰めた才色兼備なNina Kraviz、今年20周年を迎えたLife Forceのアニバーサリーのために来日したAnton Zapなどが特に有名だと思います。そしてこのクラブシーンから頭角を表してきたニューカマーが、今回WIRE初登場を果たすPhilipp Gorbachev(フィリップ・ゴルバチョフ)です。



このPhilipp Gorbachevがいかにニューカマーか?なんとデビューは2011年。先週ご紹介した世界中の狂人達を束ねるMatias Aguayo(マティアス・アグアーヨ)のレーベル〈Comeme〉からシングル「In The Delta」でデビューします。もちろん下積みはあるのでしょうが、デビューからたった2年でWIREへの出演を果たすというのは、RYUKYUDISKOについで2番目ではないでしょうか?。ちなみにRYUKYUDISKOは、デビュー年にWIRE出演を果たしています。私はこの2年でどれだけ成長したのでしょうか。。。せいぜい引越ししたくらいです(苦笑)


デビューシングルの「In The Delta」。硬質なシンセベースにミニマルな曲展開で個性的なサウンドを作りあげている。




「In The Delta」収録曲の1つ。ディストーションギターをとベースが這いずる狂気的ハウストラック。



翌年には、ライブユニットであるIsaac Johan(アイザック・ヨハン)として、より狂気度を増したサイケデリックロック的な作品を〈Comeme〉よりリリースしたり、さらにMatias Aguayoと共にベルリンにてThe District Union(ザ・ディストリクト・ユニオン)を結成するなど積極的な活動を行いました。

アナログでロウな、いびつな鳴りがモノクロの渦となり呪術のようにも聴こえてくる。




The District Unionでのトラックは、今までの狂気的な部分は排除されカラフルな仕上がりになった。



今年には、ドイツの老舗名門レーベル〈Kompakt〉を主宰するのMichael Mayerのリミックスを担当したりもしましたが、やはり最新シングル「Hero Of Tomorrow」をリリースしたことは大きかったです。6曲入りのシングルなので、正味ミニアルバム。さらにフリーキーさを増し、独特のニューウェイヴディスコを表現した超アグレッシヴな作品になっていました。


サイケ的なテクノのループに古いVHSを見ているかのようなボーカルが乗る彼らしい作品だが、よりクラブトラックとなった作品。




このEPの中で個人的に好きな1曲。跳ねるベースにウヨウヨするシンセ、各音色が複雑に絡むトラック。




Linkwoodが率いる〈Firecracker Recordings〉から出ていてもおかしくないような、デトロイティッシュなトラック。



動画が多くなりましたが、Philipp Gorbachevの楽曲がおもしろい作品だということが伝わったかと思います。この癖のあるというか独特な音は、卓球さんが好きそうな印象です。でないと〈Comeme〉関係のアーティストを3組もブッキングしないと思います。今回Philipp Gorbachevもライヴセットなので彼の世界観が充分に楽しめる内容となるでしょう。そして、まさに今年のダークホースといえる存在です。

そして、もう1人初登場の人がいるので欲張ってご紹介を。ダッチ○○という言葉を聞いたことがあると思いますが、オランダを意味するこのダッチ。オランダといえば、今年の春オランダ国王の即位記念イベントでArmin van Buurenがトランスをプレイしている動画が話題にもなったり、Ferry Corsten、Tiestoといったトランスのアーティストを多く輩出している国なのでダッチトランスという言葉が生まれるほどトランスの盛んな国でした。ただ、ここ数年はテクノやハウスもどんどん盛んになってきています。それは、今年のWIREにも登場する2000 and One(ツーサウザンド・アンド・ワン)や、過去WIREにも出演した、Joris Voorn(ヨリス・ボーン)、Shinedoe(シネドエ)といったアーティストの活躍があるからでしょう。そしてダッチテクノの新世代として注目を集めるBart Skils(バート・スキルズ)もその1人です。



2000 and Oneによる名門レーベル〈100% Pure〉の看板アーティストとして君臨する傍ら、スウェーデンシーンのトップアーティストであるAdam Beyer(アダム・ベイヤー)の〈Drumcode〉や、スウェーデンの重鎮Christian Smith(クリスチャン・スミス)の〈Tronic〉、Joris Voorn(ヨリス・ヴォーン)の〈Rejected〉からも優れた作品をリリースしています。


前に紹介したPhilipp Gorbachevの世界観とは一転、ミニマルなループと芯の詰まった音なので、しっかり組まれたサウンドシステムを通して体で聴きたい音。




Christian Smithの〈Tronic〉からのリリース。コロコロ転がるようなリズムが心地よい。




Adam Beyerの〈Drumcode〉からリリースされた最新作。厚みのあるグルーヴにシリアスなシンセが広がっていく。



WIREへはDJとしての出演ですが、DJの腕前はアムステルダム随一と言われているだけに、どのようなプレイを披露してくれるか?上記の曲調からもわかるよに重くも攻めれるし、軽く躍らせられることもできそうです。どちらにせよ楽しみですね。


今まで、このコラムでは初登場的なアーティストにフォーカスを当ててきましたが、今後はWIRE常連組にフォーカスを当てていこうと思います。

Text:yanma (clubberia)

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PROFILE

TAKKYU ISHINO (TOKYO)

TAKKYU ISHINO (TOKYO)

1983年7月16日生まれ。島根県出身。現29歳。服飾の専門学校を卒業後、アパレル会社に入社するが音楽の仕事に携わりたくなり退社。そしてclubberiaに就職。現在は編集長を務める。