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「まだMUTEK.JPに行ったことがない人へ」
新たな芸術表現に出会えるフェス、いよいよ開催

 昨年の今ごろから11月上旬にかけて、電子音楽とデジタルアートの祭典である「MUTEK(ミューテック)」の名前を目にした読者も多いのではないでしょうか? クラベリアでもラインナップを紹介するたびに多くの方にシェアされました。結果、ページビュー数をもとに年始に発表している「clubberia Award」のフェスティバル部門では、2017年は2位を記録するほど注目を集めていました。
 そして今年も「MUTEK.JP」の開催が迫ってきました。日程は11月1日(木)〜4日(日)、会場は、お台場の日本科学未来館と渋谷WWW & WWW X、代官山UNITで開催されます。



強烈な個性をもったアーティストたちによる新しい芸術表現
11月1日(木)渋谷WWW出演者Michela Pelusio(IT)のパフォーマンスの様子。
 
 「MUTEK」は、「MUSIC」と「TECHNOLOGY」をかけ合わせた造語です。また、MUには「MUTATION(変化)」という意味もあります。このフェスティバルの一番の魅力は、“最先端テクノロジーと音楽を用いた新たな芸術表現を体験できる”ということでしょう。たとえば昨年には、光るコマを楽器にし音楽を奏でるアーティストがいました。AIとバックトゥーバックでDJをするアーティストがいました。普段はプラネタリウムが楽しめるドーム型のスクリーンに高解像度の映像を投影し肉眼でVRのような没入感を味えるパフォーマンスが行われもしました。真っ暗闇の中、耳で音を見る立体音響を駆使したパフォーマンスもありました。これらはあくまで昨年の話ですが、「MUTEK」に出るアーティストは、それぞれに強烈な個性を持っていることが伝わると思います。今年も私たちは、アーティストのパフォーマンスを見るたびに「こんなの初めて見た!」と思っているのでしょう。



MUTEKの理念
MUTEK.JPを象徴するメインの会場となる日本科学未来館。
 
 MUTEKは2000年にカナダ・モントリオールで初開催されました。以降、メキシコやスペインでも開催され、日本での開催は2016年から。昨年、昼間に開かれたカンファレンスでは、本国MUTEKの創業者であるAlan Mongeauや中心人物のPatti Schmidt、Vincent Lemieuxらが登壇しMUTEKの理念を説明しました。とくにローカルの発展を重要視しており、進化と発展を続けるためには、いろいろな分野から影響を受けることが必要と考えているそうです。だからこれほどまでに多種多様なアーティストを出演させ、来場者、出演者、関係者といったその場にいる人へ強い刺激を与え、進化と発展を促しているのでしょう。また、出演者の50%を開催国から、残り50%を海外からという制約を設けているとも言います。MUTEK.JPでも多くの日本人アーティストが出演するのにも注目です。


プラネタリウムの設備でオーディオ・ビジュアルを楽しむ。今年も注目のドームシアター
11月2日(金)日本科学未来館に出演するSynichi Yamamoto + Seiichi Sega & Intercity-Expressの作品「Noesis」。
 
 普段はプラネタリウムを映し出すドーム型のシアターがMUTEK.JPの間は、高精細な映像が映し出され、サウンドとともに、オーディオビジュアルを楽しむことができます。椅子に座って見上げると視界のほぼすべてが映像で埋まり、肉眼でもVRのような没入感を得られます。昨年は、このドームシアターのプログラムに参加できる整理券を求めて長蛇の列ができていました。今年は、より多くの人に楽しんでもらえるようプログラムの回数も増やすということです。


有名無名にこだわる必要なし。
見たいのは、全部。
11月3日(土)日本科学未来館に出演者するAlexandre Burton & Julien Roy (artificiel) (CA/QC)のパフォーマンス。

 
 今年は、Jeff MillsとMike BanksによるプロジェクトX-102、真鍋大度と堀井哲史、海外版初音ミクのアートプロジェクト「Still Be Here ft.Hatsune Miku」が世界初や国内初といったパフォーマンスが披露され、さらにはコーネリアスも出演などなど。多くの人に知られている名前が並びます。これらは、もちろん見ておきたい。けれどMUTEK.JPには、強烈な個性をもったアーティストばかり出演するため、どのアーティストを見ても楽しめるはずです。しかし、行く日程や時間には限りがあると思うので、各日程から、このパフォーマンスはとくに見たい!というアーティストを2組ずつピックアップしました。視覚に訴えかける表現が多くなっているのは、あしからず。

11月1日(木)渋谷WWW
Kazuya Nagaya & Ali Demirel(JP+TR


仏教やヒンズー教の儀式で使用されている青銅製のりん、ゴング、シンギングボウルを使う音楽家Kazuya NagayaとRichie Hawtinとのコラボレーションなどで知られるビジュアル・アーティストAli Demirelとのコラボレーションパフォーマンス。動画はKazuya Nagayaの過去のパフォーマンス。

11月1日(木)渋谷WWW
Michela Pelusio(IT


白い弦を回転させ巨大な螺旋体を作るパフォーマンス。オランダ・デン・ハーグ大学ArtScience部門の修士号も取得。イタリアのカラーラ芸術アカデミーでは彫刻の学位も取得。また、教師としても働いていたキャリアをもつアカデミックなアーティスト。
 
11月2日(金)日本科学未来館
Synichi Yamamoto + Seiichi Sega & Intercity-Express (JP

[Noesis] -3D A/V show in dome theater- from Intercity-express on Vimeo.

「エレクトリック音楽の延長という映像」というアプローチで、国内外のアート・フェスティバルなどで数多くの作品を発表する山本信一と音楽家・大野哲二によるビジュアル/サウンドプロジェクトIntercity-Expressとのコラボレーション。今年はドームシアターと地球ディスプレイがあるシンボルゾーンに出演。
 
11月2日(金)WWW
Filastine & Nova(ES+ID)


インドネシア出身のNovaのエキゾチックな歌や存在感とFilastineが作るベース・ミュージックが融合。エキゾチックなパンク・ベース・ミュージック。音楽誌Spinは彼らの音楽について「都市未来を崩壊させるベース・ミュージック」と表現。Pitchforkは「別世界のワールドミュージック」と表現している。
 
11月3日(土)日本科学未来館
Hiroaki Umeda(JP


振付家、ダンサー、ビジュアル・アーティスト。近年は身体的感覚にフォーカスした映像作品、インスタレーションも制作。ダンス作品を元に制作されたドーム型映像作品『Intensional Particle Dome Installation』は、ドイツのFulldome FestivalやアメリカのMacon Film Festivalなどで受賞している。
 
11月3日(土)日本科学未来館
Joanie Lemercier & James Ginzburg(BE/FR+UK


James Ginzburgの重厚なダーク・アンビエントと点と線で構成されたミクロな世界にドームシアターで包まれたらどれだけの没入感が味わえるだろう。この映像は、自然界をモノクロームで再構築してるもの。
 
11月4日(日)日本科学未来館
NONOTAK(FR/JP


イラストレーターのNoemi Schipferと建築家でありミュージシャンであるTakami Nakamotoによるアートユニット。メディアアート界の新星として世界中の注目を集める存在。昨年に続き出演。巨大なオブジェを使ったパフォーマンスは必見。
 
11月4日(日)日本科学未来館
Masayoshi Fujita(JP)


ヴィブラフォン奏者、作曲家。2006年よりベルリンに拠点を移しオリジナル作品の作曲・演奏活動をつづけている。彼が出演するMUTEK.JPの新たなプログラムAmbienceは、新進気鋭のアンビエントミュージシャンを紹介することにフォーカスした内容が展開される。
 
 
 事前に映像を見ると、会場での感動や驚きが小さくなるという意見もあるかもしれませんが、私はそんなことないと思います。モニターの世界と上下左右前後360度のリアルな世界は、やはりまったくの別物ですよね。強烈な個性をもったアーティストたちによる新しい芸術表現を肌で感じてみてはいかがでしょうか?

公式サイト
https://mutek.jp/