2005-06-01 UP

Shpongle

TIPの創始者にしてサイケ界のカリスマ=ラジャ・ラムと、Hallucinogenことサイモン・ポスフォードのプロジェクト、シュポングルがソルスティスで来日。4年ぶりのニューアルバムも完成させた彼らに直撃インタビュー!!

ヒロシ

─ はじめまして! すでに札幌などでプレイをされたそうですがどうでした? 疲れていないですか?

Raja: そうだね、今日はまだ来日して3日目で……僕はイスラエルでのプレイが終わった次の日には札幌でプレイをしたんだけど、札幌はとにかく良かったよ! ここで札幌のみんなに言っておくよ。Sapporo rrrRRRROCKS!!!! 本当にありがとう! 400人のクラウドだったんだけど、まるで4000人のクラウドを思わせるような盛り上がりだったよ。そのあとサイモンと合流して、大阪でプレイしたんだ。それも大成功に終わって楽しませてもらったよ。そして、いま、東京に来てROCKするのを楽しみにしているのさ。

─ そうですかぁ、いやぁ~エネルギーありますねぇ。それでは、インタビューに入りますが、まずはじめに、お2人がシュポングルになるまでのエピソードなんて教えてもらえないかな?

Raja: うん、そうだねぇ。イイ質問だ。Si(サイモンのこと)、説明してやって(笑)。

Simon: そうだねぇ、たぶん会ったのはBuspipe(YOUTH主宰のレーベル、Dragonflyのホーム・スタジオとして知られる、バタフライ・スタジオのこと)のスタジオでじゃないかな? 91年か92年くらいかな? そう、もう12年前くらいだよ。

R:そうそう、Siも僕もレコーディングしていたよね。

Simon: 3つの各スタジオで違ったプロジェクトが行われていて、晩にはみんなで一緒に晩飯を食べていたんだけど、そこでRaj(Raja)に会ったんだ。気が合うから一緒に仕事をしようなんて言っていたんだけど、実際に2人でなにかをするまではけっこう時間がかかったよ。

Raja: う~ん、そう、(会って)1年後くらいに「Stimuli」という曲のときに一緒にコラボしたんだ。

Simon: それは全部トランスだったから次はアンビエントのトラックをやりたいな、と思っていたときに2人で(イギリスの)巨大イベント「グラストンバリー」に行ったんだ。そこで物凄い美人の女性が弾いていた美しいケルティック・ハープの曲を聴いていたんだけど、彼女とそのハープにインスピレーションを受けたんだ。

Raja: 彼女は僕らの天使だったよ。結局会うことこともなく、どっかに消えちゃったんだ。まるで僕らの前に舞い降りてきては消えた天使のようだったよ。

Ssimon: 彼女の影響でとにかくアンビエントの曲を創らなくてはと思い、グラストンバリーから戻ってすぐスタジオに入ったんだ。

Raja: それで3日間スタジオにいて、Vapour Rumourを創ったんだ。そして「シュポングル」という名前はイキナリって感じで現れたんだ。ある人がプレイ中の僕に「今どんな気持ち?」って聞いてきて、僕はとっさに「I feel Shpongled」と言ったんだ。そしたらその人が「え? どう言う意味?」って聞いてきて、僕は「いや、よくわからないけど、とにかくそんな感じなんだ」と応えたんだよ。それから僕らは「シュポングル」と言う名前になったんだ。以来3枚のアルバムを出して、数々のプレイをしてきたんだ。

─ なるほど。ファンの皆はとにかくどういう意味なのかを知りたいと思っている人が多いと思うよ。

Raja: そうだね。この名前/言葉は、表しようのないモノを表すと言う意味があるんだ。僕ら(の音楽)を体験したそれぞれのひとが持った経験/気持ちは、ひとそれぞれ違うし、独特なモノだと思うんだけど、それを1つの言葉で表現するのは不可能だから、この言葉はそれぞれが受けた意味を意味するんだ。

─ なるほど、つまりシュポングルの意味は1人ひとりが持つイメージでいいんだね? さて、そんなお2人が一緒に仕事するうえでお互いどのようにしてコラボをし、どんなとこでお互いをリスペクトしているんですか?

Raja: Si、君が応えたほうがいいね(笑)。

Simon: 僕らは、とにかくお互いをミュージシャンとして認め合い、リスペクトしているよ。それがあるからこそ元々一緒になにかをやりたいと思ったんだ。

─ じゃあ一緒に仕事するのはやりやすいんだ。

Raja: とてもやりやすいよ。一緒に仕事をするときはとにかくクリエイティブで新しいモノが創れるんだ。僕はサイモンよりは倍、齢を取っているけど、サイモンはまるで僕の父親のような存在だよ(笑)!

Simon: そう、Rajは僕の息子(笑)!

─ マジですか!? それじゃ、どんなプロセスで仕事は進むの?

S:まずは、Rajが電車に乗って僕のスタジオにやってくるんだけど、そのときは彼がいろいろなモノを持ってくるんだ。いろいろなことを書いた紙とかサンプルとかね。

Raja: そう。それで僕らは音楽のことは一切話さないんだ。僕らはミュージシャンとしての経験や勉強はしているんだけど、音楽的な言葉では話はしないんだ。僕らは「食」をテーマに音楽のことを話すんだ。例えば、僕がサイモンに「今晩はどんなモノを食べたいんだ? アペタイザーから始める? それでメインはドッシリとした肉料理? んでデザートは?」なんて感じでね。「サイドには、オニオン? ウェルダンか生っぽいの?アイスクリームにはチェリーとかを付けて?」なんて聞くんだ。こういうことを聞きながら、僕はソファでゆっくりしてほとんど何もしないんだ。サイモンが2人のなかの働き屋さんなんだ。でも、僕が「何もしない」というスタンスを取らないとサイモンも動かないんだ。

Simon: そう。僕は基本的にとてもだらしないんで、Rajからのインスピレーションを受けないと動けないんだ。僕は、音楽を創る上での技術やテクノロジーの知識は豊富だけど、Rajがソファでゆっくりしながら僕がどんな曲を創っているのかを観ていてもらわないとダメなんだ。細かい調整とかは僕ができるんだけど、全体のイメージやインスピレーションや感情とかの部分でRajの誘導がないとトラックを創れないんだ。

Raja: 僕らが創る音楽はジャズとかと同じようにとても即興性の部分が大きいからとてもオーガニック(有機体的)なミュージックなんだ。次の曲への流れもとても自然な感じで出来るんだ。んで、それが不自然な感じになってしまうときにお互いストップをかけ、細かい調整とかをするんだよ。

Simon: まあ、それでもたいがいのときはあるテーマとかを事前に決めてやるけどね。例えば(近日リリースされる)3作目のテーマは「夢の世界・夢の状態」をテーマにいろいろなシナリオや環境を彷徨ったりする時間と空間を超越した感じを表現したかったんだ。

Raja: そう、物理的な世界から抜けだし、精神的な世界へと移り行く模様を表現したかったんだ。

Simon: ある時Rajが「例えば、空に浮かぶ川なんてどうだい?」と聞いてきて、それをいかにして音楽で表現するかという作業になるんだ。空を歩きながら岩場に辿り着き、水の落ちる音が聴こえ、太陽の光が突き抜けて……。

Raja: それで次に暗闇に囲まれた森へと移るとちょっと不安な感じを覚えるのでその不安を表現したりと、全部表現されていくんだ。

Simon: 僕らは音楽を創る前は、実際の曲がどんな音なのかはほとんど分からないんだ。

─ じゃあ、体験とか気持ちとかがまず来て、それをいかにして音楽という言葉に翻訳するかって感じかな?

Raja: その通り。とにかく僕らは自分たちの経験や気持ちをもとに音楽を創ることにより、心から表現をしているんだ。経験してもいないものを表現しようとしてもそれは、偽りになってしまうからね。

Simon: 僕とRajのあいだでは、合わせて100年くらいの人生経験があるからね。

Raja: そう俺は64で、Siは?

Simon: 21(笑)。

Raja: 僕は60年代の頃から音楽をやっていて、バンドをやっていたんだが、その当時は、ピンク・フロイド、レッド・ツェッペリンとかザ・フーとかのオープニング・アクトなどを務めていたよ。だから40年間くらいミュージシャンとして活動しているんだ。

─ うへぇ。凄いです。それでは、その音楽に関してなんだけど、まず、シュポングルは例えばどんなアーティストやDJに影響を受けたことがあるんですか?

Simon: 数え切れないねぇ。僕は10代の頃はかなりザ・キュアーに影響されたね。でも、まあ、それが今のシュポングルに影響しているかというとちょっと違うけど。う~ん、そうだねぇ、オズリックスとかフロイドとかジミ・ヘンドリックスとかいろいろだなぁ。

Raja: 僕の場合ちょっと違うんだなぁ。と言うのは、当然僕はSiとは違った世代からくる者だし、クラシックを聴きながら育ったし、フルートを勉強に音楽学校にも通ったんだ。だから僕の音楽的背景には、フランスの有名フルート吹きとかがいるし、後にインド音楽を勉強し、インドのフルート吹きとかにも影響され、60 年代にはニューヨークに行きジャズを勉強し、即興性の音楽を勉強したんだ。そのおかげでクラシックでは音楽の基礎、ジャズとかでは即興性の音楽のベースができ、そのベースがシュポングルで活かされているよ。当然ほかのバンドとしての活動やバレーとか映画のために作曲したりとかいろいろな活動で影響を受け、今2人がDJであることにより多くのDJ仲間にも影響されているんだ。本当に2人は今はまだ成長過程にあるよ。
音楽はつねに動いているものであって、テクノロジーとかはドンドン進化しているんだけど、結局音楽って音の響きなんだ。そして、それを創るためには物凄いテクノロジーもあれば、簡単な楽器でもできるんだ。要するに音楽って聴くことによりあるところへ到達することなんだ。僕らはとにかく自分たちが経験した事柄とか気持ちを表現すること、またその表現が自分たちが満足できる仕上がりになっていること、これを成功させたいと思っているんだ。お金とか名声のためにはやったことないよ。

─ なるほど、ではその音楽はなぜやり続けるのでしょうか?

Simon: 自殺しないためさ(笑)。

Raja: 僕は理由なんかないよ。音楽をやるってのは、僕にとって朝起きたり、夜寝たりするのと同じで、人生に不可欠なことなんだ。他の全てのモノはいいけど音楽だけはなくなっては僕は生きていけないよ。

─ 日本には何度も来てプレイしていると思いますが、日本のシーンと海外のシーン、違いはある?

Simon: 僕は個人的に日本でプレイするのが一番好きだな。良いひとばかりだし、クラウドの盛り上がりも良いし、ソルスティスの連中は本当にプロフェッショナルな仕事をしてくれるからね。

Raja: 日本のクラウドは「意識」がしっかりしているヒトばかりでやりやすいんだ。この前ブラジルとイスラエルでプレイしたけど、そこでやるのは楽しいことは当然ながら楽しいんだけど、向こうのクラウドはとにかくうるさく、とにかく騒ぎたいと言う気持ちが前面に出ているんだよね。日本のクラウドはちょっと違うんだよね。あと、Siが言う通りプロ意識が物凄く高いよ。ソルスティスの連中はとにかく最高の働きをしてくれるし、彼らのその働きに応えるためにもこっちもプロとして最高の演出をするよう精一杯努力しなくてはと思い、この2つのプロ意識が重なれば最高のショーを届けることが出来るよ。だから日本でやるのが一番やりやすいね。

─ さて、5月25日にリリースされる3作目のアルバムについてですが、先ほど「夢」とかの話をしていましたけど、もうちょっと詳しく教えてください。

Raja: そうだね、1番目はエネルギーがあり2作目はプロデューシングの力が加わるから売れるんだけど、3作目ってネタ切れになっているのにマネージャーが急かすからどのバンドにとっても生きるか死ぬかの決め手となる作品なんだよ。その結果だいたいダメ作ができちゃうんだけど、僕らはしっかりと時間をかけて60分の音楽作品を作りたいと思い3年かけて創ってきたんだ。サイモンは完璧主義者なんで、1つのモノが完璧にできていないと次のことへと移ることができないんでそれだけ時間がかかったんだ。とにかくリラックスしながら良いモノを創ろうという姿勢で取りかかり、しっかりとした物語が出来ているようになっている。夢の世界をさまよい、アルバムの最後には覚醒するというコンセプトなんだ。これは本当にサイケデリック・アドベンチャーなんだ。そしてシュポングルとして今までに行ったことのないところへと旅することが出来た作品なんだ。けっこうクラシックの音を取り入れたりしたし、そう、まるでいろいろな香水を匂うような感じの部分があるんだ。シナリオが変わったりとか、もう本当に物語になっているんだ。

Simon: あと、この3作目は前2作の完結作、つまりトリロジーの最後として創った作品なんだ。最初の2作は、それぞれ違ったエレメントを持っているんだが、この3作目によりすべてがまとまるような感じになっているんだ。

R: シュポングルとして成人になった証のアルバムなんだ。ファンのために創ったんで気にいってもらうことを願っているよ。でもシュポングルとしてこれが最後のアルバムの可能性が高いんだ。サイモンとはこれからも一緒に何かをやろうとは思うけど、シュポングルとしてはこれが最後かな。ほかの名前とか、全然違うコンセプトのプロジェクトでサイモンと一緒に仕事をするとは思うけど。

S: シュポングルはもう僕たち以上の存在になってしまったんで、シュポングルとしてこれ以上活動してしまうと、僕ら2人はどうしてもシュポングルという枠内に縛られてしまうので、シュポングルでないモノを創るとファンには嫌われてしまうのでね。

R: 僕らは最高の出来のアルバムだと思っているんだよ。これ以上良いモノはシュポングルとしては出来ないと言う可能性があるからこれが最後かもね。

─ このアルバムからのモノは土曜のイベント(5月7日のソルスティス)で使われるの?

Raja: そうだね。とにかく良いサウンド・システムでいくつかは出そうと思っているよ。土曜はとにかく盛り上がるよ。

─ それじゃ、シュポングルの最後を飾るかもしれない今年の今後の予定を教えてください。

Raja: まあ、アルバムのツアーを世界中でするかな。

Simon: これからはシュポングルとしてではなく、ほかの名前で活動しようとは思うよ。

Raja: そうだなぁ、今度はアンビエントではなく、2人でダンスミュージック、特にトランスをやりたいね。トランスはとても自由なジャンルであって、「これ」といった決まった形がないから自由にいろいろな表現ができるんだ。もっともっとパーティーの数を増やして、すべてのひとに喜びを味わって欲しい限りだよ。

─ いいですねぇ。それでは最後にクラベリア読者にひと言お願いします!

Raja, Simon: Get Shpongled!

Raja: とにかくピースだよ。もっとみんなでがんばって良い世界を築き、みんなで平和に、喜びと共に生きて行こうよ。そしてその過程の中で人と人との繋げ役にトランスがあれば最高だと思っているよ。

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