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Calm new album "Blue Planet" release tour in Kashiwa

■CALM

日本の「チルアウト / バレアリック」ミュージックの先駆者の一人。97年に『Calm EP』にてデビュー。98年『Shadow of the Earth』、99年『Moonage Electric Ensemble』をリリース。その後、日本に限らず世界中のレーベルへ楽曲を提供する。02年OrganLanguage名義でのアルバムをリリース し、CALM名義とは違う新たな展開をしていく。その後、自身のレーベル「MUSIC CONCEPTION」を立ち上げ、無名ながらクオリティーの高い、オリジナルなアーティスト達をリリースしていく。03年CALM名義の3作目のアルバ ム『Ancient Future』、04年にはダンスミュージックを中心に据えるプロジェクトCALM presents K.Fを開始し、同年にアルバム『KeyFree』をリリース。DJとしても活動を行い、その幅広く深い知識を生かした暖かいプレイスタイルは多くの人達 に好評を得ている。06年にはTHA BLUE HERBのILL-BOSSTINOとの新プロジェクトJAPANESESYNCHRO SYSTEMもスタートさせた。07年冬4枚目のアルバムをリリース。http://www.music-conception.com



ここ数年、K.F.やJAPANESE SYNCHRO SYSTEMという別名義のプロジェクトを経由して、自身のイメージするダンスミュージックを模索し続け大きく成長してきたCALM。先日行われたメタモ ルフォーゼのDJでも、それらの経験から得てきた心温まるプレイはまさに3年連続でこのフェスのラストを飾るDJに相応しいものであった。これからもその スタイルを追求し続けることがとても楽しみである。



しかし、CALMという名義の作品は元々本人がどう考えていたかは別として、クラブミュージックを根源の一つに持つこと以外は、ここ数年模索してきたダンスミュージックのベクトルとは異なる所に位置するものである。あえてその作風を言葉でたとえるなら、「サウダージ (郷愁) と和みが共存する音楽」というものではないだろうか。ブラジル音楽が持つ郷愁感 (サウダージ) のような切なさと、和みと言われるような心の平穏を同居させ、更にクラブミュージックが持つ都市感のようなフィーリングを渾然一体とさせているものなので ある。その作品は極めて直感的であり、他と比較することが非常に難しい。精神の根源的な部分に突き刺さるもので、リスナー自身も気づかない心の奥底に潜む 本能へと語りかけてくる音楽なのである。



数多の風景がCALMの作り上げる音楽には存在するそれは彼にとって行ったこともない遠い場所でもあったり、逆にすぐ目の前に広がる場所でもある。



スペイン領イビザ島のサンセットビーチにあるカフェ、Cafe del marに代表される「チルアウト / バレアリック」というサウンドカテゴリーに属する作品群にもそういった類のものが多く存在する。時代もジャンルも超えたセレクトで、都市に生きるダンス ミュージックラバー達がバケーションで訪れたその浜辺でリラックスして聴く音楽。そこを訪れた多くのミュージシャンがそのスタイルと、そこで見た風景に影 響を受け、それぞれの作品にフィードバックしていった。CALMの過去の作品は意図せずしてそれらと強くリンクし、デンマークのレーベルで、現在の「チルアウト / バレアリック」サウンドの一端を担う「MUSIC FOR DREAMS」からもレーベルスタッフがチョイスしたベスト盤CDとして、過去に海外よりリリースされた。



ごく自然な結果として、今作のCALMは今までの世界観を突き進めたものになっている。彼の音楽が描き出す自然や都市の風景はボーカリスト達の参加による その肉声と言葉で、聴く側にさらなる風景を感じさせるものへとなった。そしてそれら個々の楽曲達は複雑に絡み合いながら青い星を大きく映し出している。