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TOWA TEI

 1990年にDeee-Liteのメンバーとして全米デビューをはたし、リリースした「Groove Is In The Heart」で、イギリス/オーストラリアで1位、米ビルボードポップチャートでは4位を記録し、ファッション性やミュージックビデオふくめ強烈な印象を世界、そして日本に与えたTOWA TEI。1994年に活動の拠点を日本に移し、『FUTURE LISTENING!』でソロデビューを果たし、昨年はソロデビュー20周年を迎えた。20周年を記念しリリースしたベストリミックス集「94-14 REMIX」、ベストカバー集「94-14 COVERS」、ベストアルバム「94-14」を続いて発表。そして2015年7月29日(水)に8枚目のアルバムとなる『CUTE』をリリースするなど、いまだ彼のクリエイティブは止まることをしらない。このインタビューでは、作品に対してはもちろん、現在の音楽シーンと自身の音楽に対する価値観を重ねて話してもらった。

Interview : yanma (clubberia)
 

 

 

 - 早くレコ屋に並んでるのを見たいと思うんですね。それを見たくてやってる部分もあるんで。-



- 2005年にリリースされた『FLASH』以降、シンプルなタイトルが続いていますが、今回の『CUTE』というタイトルの背景には何がありますか?

背景には3.11があるのですが、3.11以降は曲が作れなかったり、聴けなかったりしたんです。でも『SUNNY』、『MACH 2012』、『LUCKY』といったアルバムを震災以降も作って、そこでも音楽をやっててよかったなというか、音楽に救われてるなっていうとこがあって。やっぱりいろいろ世の中ありますが、やるしかないんだよなと。自分にできることは音楽だと思うんで。そういう意味で音楽は1番キュートだなと思ってタイトルに付けました。

- 今回のアルバムもそうなんですけど、テイさんの作品を聴くと、TOWA TEIという入れ物をポンって置いて、いろんなアーティストと一緒にTOWA TEIという要素を自由に入れて遊んでるイメージがありますがいかがでしょうか?

自由に遊んでもらいつつ、以外とコントロールもしてるとは思いますよ。もちろん詩も曲もアレンジも僕がやってますから。ただ、音楽自体そもそもがコミュニケーションツールなんで。声を発したりすることと同じだから。全部自分でやれと言われればできるだろけど、それって僕にとっては面白くないんです。新しい自分の曲を聴きたいし、だからどんどん作業を終わらせる。次の作品も作ってますし、その繰り返しは非常に好きですね。キャンバスが真っ白で見えてない時、なんとなく下地ができてきた頃、ミックス手前でディティールが揃った時も好きですし、ジャケットを作るのも好きだし。どうやって生産性を向上させるかって合理的に考えていくと、やっぱり楽しく、楽しい人とだけやるっていう。で、気楽にやってもらう。参加してもらってるアーティストも自分の作品ならとことん考えてやるんでしょうけど、人の作品は、いい意味でササッとやってくれるし。そのササッが良かったりするし、自分の気に入っている曲は結構ササッとできた曲にありきというか。悩んだものは、悩んだなりの思い出はあるんですけど、以外とできは良くなかったりしますね。できっていうのは、社会的な評価というか、印税でわかったりもするし(笑)。再生回数とかね。

- 日本でのソロデビューから今年で21年を迎えますが、音楽業界やシーンに対する自身の役割みたいなものや考えなどはありますか?

音楽産業ってそれで食べている人たちがいるので、締め切りがあってリリースタイミングがあってっていうのがもちろんあります。そういった産業的な側面から離れているという意味で、自分の存在は、もはや戦力外だと思ってる(笑)。自分の中で作品ができたからリリースする、誰かに頼ることもなく基本的にリスクは100%背負ってやってる。締め切りありきで作られるような産業としての音楽を悪いと言っているわけではないんですけど、いつまでにヒット曲を作れみたいななかでやってる人たちは、すごいなとは思うんですけれど僕にはできない。自負してるのは、その場限りの音は作ってないこと。やはり、売れるために作られた音楽、その時だけのために作られた使い捨ての曲が多いじゃないですか。クラブミュージック然り。そもそも、音楽なんて戦いではないと思っているので。

今の流行だとEDMとかなんだけど、それってアプリとかソフトシンセとかの発達が関係あると思うんだよね。あの音流行ってるなとか、あの音いいなと思ったら同じ音が簡単に出せちゃう。僕も作れる、誰でも作れる的なというか。僕はそこに非常に興味がなくて。音楽を長く聴いてきたなかで、自分なりの好みのなかで、聴いたことない気持ちいい音を作りたいていうのが使命感というか。だから今のトレンドを否定しているというよりは、同じ方向に向いちゃう風潮に非常に興味がないってだけですね。だってそれは、モノマネと一緒じゃないですか。それが面白い人は、それをやってればいいと思うけど。誰かがすでに作ったものをなぞるっていうコピーに興味がないんですね。カバーには興味ありますけど。
 

 

 

 
- 今、レギュラーパーティーは、やられていませんよね?


レギュラーパーティーは、長年続けてた“AIR”での「MOTIVATION」が最後かな。Deee-Liteをやるまで、ずっとDJで食ってたんですけど、Deee-Liteを始めたことでDJもやれなくなり。日本に帰ってきて、軽井沢越したぐらいから、またDJの比率も増えていったんです。

-軽井沢に行ってから比率が増えたんですか?

増えましたね。必要以上には受けなかったんですけど、軽井沢での生活にも余裕ができたんで、週末はいろんなとこでDJやってもいいかなと思えるようになったというか。それで15年間くらいはDJ多かったですね。でも、もういいかなっていう。勝手に辞めたわけじゃなくて、面白そうなパーティーだったらやりますよ。逆にクラブじゃなくて、温泉街でのイベントやフェスとかは特に興味がありますね。

- クラブから距離を置いてみて見える部分ってあったりしましたか?

今のクラブは、EDMが主流ですよね? 若い人が騒げる場所を否定しないですけど、自分がそれに合わせて芸をすることが考えにくいっていうだけの話で。いい音で自分の好きな音をかけれて、盛り上がるんだったらやりたいけど、そういう場所はそんなにないだろうし。まぁ、夜働くのがきつい。DJを減らした分、体調的にもすごく楽になったと思ってます。

- 最近特にレコードを買うようになったそうですね。

波はありますね。曲を作り出す頃にネタとして探したりとか。でも作ってる間はどちらかというとプラグインとかシンセとか買ってたりとか。それで、仕上げの頃になってくるとテクスチャーとしてレコードをサンプリングしたいなとかあるんですけど。家ではUREIのミキサーとタンテが2台あるけど、1台しか繋いでない(笑)。カートリッジもクラブでやるときはTraktorだから、デジタルの針でやってるけど、家では普通のortofon。仕事上ずっとMacで作業してるから、聴くぞっていうその切り替えのスイッチとしてなるべくアナログを聴くようにしてるかな。時間的な長さ含めちょうどいいんでしょうね。生理的に気持ち良いというか。ジャケから出したりとか。
最近、レクサスの仕事の選曲にレコードを使ってたりするんですけど、昔のジャズやファンクとかを出してみると、以外とコンディション悪いなっていうのがあるから、Discogsとかで探して同じものを買ったり。ジャケがすごい気に入っている盤は、ボロボロになったらジャケだけのために買い直すとか。そういうことしてますね。だからレコードは、骨董品に近い、手軽な骨董品というか。でも、THE BEATLESとかそういう世界とかになると全然手軽じゃないよね。ものによっては数十万、数百万とか。そういうとこまでは僕はいってないんでたいしたコレクターじゃないと思うんですけど。

- どのような生活リズムで作曲されるのですか?

本当に浮かんだ時はやるし、浮かばない時に無理に作ろうとはしないです。だからやりたくなるのを待ってるというか。こうやって今回作ったものが日の目を浴びるのが嬉しいし、早くレコ屋に並んでるのを見たいと思うんですね。それを見たくてやってる部分もあるんで。



- Release Information -

タイトル:CUTE
アーティスト:TOWA TEI
発売日:2015年7月29日(水)
価格:2,778円(税別)

[トラックリスト]
01. FLUKE
02. TOP NOTE
03. LUV PANDEMIC
04. NOTV
05. HEAVEN
06. SOUND OF MUSIC with UA
07. TRY AGAIN
08. CUL DE SAC with Leo Imai
09. BARU SEPEDA
10. CHAISE LONGUE

■HMV
http://www.hmv.co.jp/artist_TOWA-TEI_000000000052853/
https://www.pioneerdj.com/ja-jp/product/software/wedj/dj-app/overview/