過去には「R&B王子」 と呼ばれたDJ KOMORI。現在は、エレクトロサウンドも中枢に取り込んだダンスミュージック全般に拡張し、SUMMER SONICやULTRA JAPANといった大型フェスにも出演する日本を代表するDJ/プロデューサーの地位を確立している。そんな彼の背景にある音楽とは何なのか? ちょうどロサンゼルスから帰ってきたばかりの彼にインタビューを行ったが、ロサンゼルスでの時間が、音楽の記憶のしおりをより明確にしてくれたのかもしれない。
父親の影響で好きになったバスケやアメフト、そしてアメリカの音楽を語る上で欠かせないラジオ。小さなころからアメリカへの憧れがあったと語る彼のSOUNDTRACK OF LIFEをご紹介したい。


Interview & Text : yanma (clubberia)
Photo : 難波里美 (clubberia)

SOUNDTRACK OF LIFE #01
Teddy Riley ft Tammy Lucas - Is It Good to You

DJ KOMORI:この曲は、Juiceっていう映画のサントラに入っている曲なんですけど、この映画は僕がDJをするきっかけになった映画なんです。92年の映画で、 2PACとか出ていたギャングムービーなんですね。その中でDJバトルをするシーンがあるんですけど、その映像を見てかっこいいなって思ってDJを始めま した。よくあるブラックムービーなんですけどね。2パックが悪い道にどんどんはまっていくって内容で。仲間の1人がDJだったんです。それまでDJっていう存在は知っていたんですけど、実際に外国人がやっている動画とか見た事ととかなったんで、それがフレッシュに見えたんですね。もちろん、YouTube なんてなかったですからね。そのサントラの中で1番好きな曲ですね。サントラ自体もすごいいい作品ですよ。

- 当時、15、16歳だったDJ KOMORI。中学校に上がるくらいからヒップホップやR&Bを聴いていたという。マライアキャリーやボーイズツーメンなどから入り掘り下げ、パ ブリックエネミーなどのクラブという場所を連想させるヒップホップへと辿り着く。そんな中でこの映画に出会ったのは、運命だったのかもしれない。
さ らに以前の話を聞くと、ヒップホップ、R&Bを聴く前は、サザンオールスターズやドリカムを好んで聴いていたそうだ。両者ともいわゆるJポップJ ポップしていないのが分かるだろう。ソウルやブルースといったテイストも感じられ、日本人的メロディーやポップさというより、音楽のルーツ的に海外の影響 が強かったことが分かる。
その影響の土台は、父親の影響で子供のころに好きになったバスケットとアメフトを挙げていた。試合を見ていると聞こえてくる音楽、大物歌手が国歌斉唱したり、ショーをしたり。だから小さい時から自然とブラックミュージックに振れる機会があったのだと語っていた。

SOUNDTRACK OF LIFE #02
Pete Rock & CL Smooth - I Got A Love

DJ KOMORI:これは、1番最初に買ったレコードですね。リリースが94年とかだったと思うので、リアルタイムでこの曲を聴いていたんですよ。今からちょうど20年前にも なるんですね。当時は高校生だったんで、放課後とか週末とかはレコ屋に行ってレコードを掘ってましたね。生まれも育ちも東京なので、それこそマンハッタンレコードに行ったり。周りの友達もけっこうレコードを買ってたんですよ。当時、第一次DJブームだったのかな。だからこの曲は、レコ屋での思い出が詰まってるんです。

- どんなに有名なDJでも下積みの期間は存在するものだ。DJ KOMORIもその1人だ。初めてプレイしたクラブに関して聞くと、東中野にある小さなクラブだったそうだ。話を聞く限りキャパシティー30人くらいだと 思う。そこからスタートしたDJ KOMORIも今やULTRA JAPANやSOMMER SONICといった大型フェスでもプレイしている。次は、そんな大型フェスでの記憶のしおりとなった曲を挙げてくれた。

SOUNDTRACK OF LIFE #03
Disclosure-Latch ( Lost kings remix )

DJ KOMORI:
今年のULTRA JAPANに出た時、最後のほうにかけた曲なんですけど、その日DJしていてこの曲をかけた時が1番気持ちよかったんです。

Disclosure をはじめ、UKのアーティストって好きなアーティストが多いんですけど、UKのアーティストは音楽的感覚が近いのかなって感じます。それは、ヒップホッ プ、R&Bの感覚もベースにあるし、彼らは90sも好きだし。音楽的感覚の根っこは同じなんだけど、その解釈が違うというか表現が違うから面白いんです。

1、2曲目に紹介した曲は90sなんですけど、最近、90sリバイバルじゃないですか?何が当時流行っていたかは分かるんですけど、それを今そのままやっても意味が無いと思うんですよね。20歳くらいの子にとってフレッシュな音楽のリバイバルでなければいけないんだと思って。当時やっていたことをそのままやる、アナログでやりましょうみたいなのってリバイバルでは無いと思うんです。新しい世代に向けてアップロードしたものを見せれているのがDisclosureだと思うんですよね。


- ロスに行った時に1番ラジオでかかっていたのがこの曲だったそうだ。アメリカのヒップホップのラジオ局は良くも悪くも閉鎖的な印象がある。ヒップホップ以外かけないなども珍しくない。リリース自体は2年前なのだが、ようやくアメリカのヒップホップのラジオ局でかかっており、そのタイムイムラグには驚きだ。

SOUNDTRACK OF LIFE #04
Ariana Grande, The Weeknd - Love Me Harder

DJ KOMORI:
これもロスに行った時、ラジオで良くかかっていたんです。ヒップホップのラジオ局でもかかっているし、TOP 40系のラジオ局でもかかっていたんです。あと、ファッションブランドのAZUL by moussyとコラボしたミックスCDをリリースしたんですけど、その1曲目でもあるんですよ。

この曲は、曲はもちろんいいのですが、DJっていうよりプロデューサー目線での見た時にもかっこいいです。Ariana Grandeって日本でいうアイドルっぽい立ち位置なんですよね。アイドルっぽい子にアイドルっぽい曲を作るのは、誰もが考えることなんだけど、ポップで はないことで納得させるもの作りあげる。人気絶頂の女の子に、かっこいい仕事をさせるっていうのがいい。まさにプロデューサーの手腕ですよね。