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THE ROOTS

フィラデルフィア出身のバンド演奏をベースにしたヒップホップグループ。ドラマーのクエストラブ(Questlove)を中心に、MCのブラックソート(Blackthought)、マリクB(Malik B)、ヒューマンビートボクサーのラーゼル(Rahzel 現在は脱退)、スクラッチ(Scratch 現在は脱退)などのメンバーを擁する。

90年代初期の「ジャズ・ヒップホップ」という一時の流行のなかでシーンに登場した彼らだが、実際にはサンプリング、プログラミングとDJを中心にした既存のHIPHOPを、より音楽的に進歩させるという独自の可能性を示し続けてきた。インディでの"Organix"、メジャーデビューとなる"Do you want more???"、その存在感を確立した"Illadelpf Halflife"と、作品ごとにそのサウンドを洗練させていく中でクエストラブのプロデュース活動が注目を集めていくようになる。ディアンジェロ(D'angelo)、コモン(Common)、エリカ・バドゥ(Erykah Badu)といった「ニュークラシックソウル」、あるいは「オーガニック」と呼ばれるアーティストの作品には必ずといっていいほど関わり、音楽シーンの中でも注目を集めるようになる。

ライブ盤"the ROOTS Comes Alive!"を経た、4パターンのジャケットが制作されるなどプロモーションにも力が入ったサードアルバム"Things Fall Apart"では、シングル"You Got Me"がヒット。エイトビートから、よりパーカッシブな方向に向かいつつあったシーンの動向をしっかりとつかんだドラマチックなビートと、エリカ・バドゥの歌う強力なメロディとが強烈なイメージを残すことに成功し、この曲でグラミーを獲得した。これにより安定したファン層を獲得した彼らは、その後もアルバム"Phrenology"から2004年の"Tipping Point"とコンスタントなリリースとライブ活動を展開している。

一方でクエストラブは精力的なプロデュース活動を展開、James Poyser、ジェイ・ディー(J Dilla a.k.a Jay Dee)らとともに結成したソウルクエリアンズ(Soulquarians)などで幅広い作品を手がける。彼が関わった作品にはディアンジェロ"Voodoo"やエリカ・バドゥ"Mama's Gun"コモン"Like Water for Chocolate"など数々の傑作が含まれ、現在の音楽シーンでももっとも名の売れたドラマーにしてHIPHOP界でももっとも重要なプロデューサーの一人となっている。

2004年"the Tipping Point"、2006年"the Game Theory"と、ソリッドでロック的な色合いが見える作風の2作品をリリース、引き続きライブ活動も精力的に展開中だ。