INTERVIEWS
バナーバナー

ageHa 17周年パーティ スペシャルインタビューvol.3
-TSUYOSHI SUZUKI-

 ageHaが17周年を迎える。記念すべきこのアニバーサリー・パーティに向け、ageHaのプロデューサーである小張氏が出演アーティストと対談形式のインタビュー行う3回シリーズの第3弾。今回は日本が誇るサイトランスシーンの世界的レジェンドTSUYOSHI SUZUKI氏とのインタビューをお届けします。
 ここ数年の世界的なサイトランスシーンのリバイバルに呼応して、以前にも増してDJとしてワールドワイドに飛び回っているTSUYOSHI SUZUKI氏。ageHaでもハンガリー・OZORAフェスティバルやオランダ・Psy-Fiフェスティバルのティザーパーティーが開催され話題となっていますが、世界と日本のシーンの最前線をリアルに見てきた二人が、この先にどんな未来を見据えているのか?対談はサイトランスのかつての聖地、代々木公園で行われた。



小張 : 最近よく海外でもご一緒させてもらっていますが、​TSUYOSHIさんが今海外で強く感じていること。これからやろうとしていることが何なのか、お話を聞かせてもらえますか?

TSUYOSHI SUZUKI :  今回の夏にヨーロッパのフェスに行って痛感したのは、「自分の原点に戻りたい」「戻るべきだな」ということ。

小張 : まさにリターン・トゥ・ザ・ソース(注)ですねw

TSUYOSHI SUZUKI : というのは、元々自分はバンドやっていて、そこからDJカルチャーの洗礼という意味ではクドウさんのトランスナイト(渋谷CAVEで開催されていた)が原点なんですけど。あの時感じたものをまたやっていきたいなと。
今、「90年代」というキーワードが自分の中で改めて凄く盛り上がって来ていて、あの時の音って今でも新鮮なんです。色褪せないんですよね。
じゃあ具体的にどうするか?自分にとって、そのキーワードは「アナログシンセ」なんです。
 アナログシンセの音圧の凄さ。ダンスミュージックである以上、キックとベースってすごく大事で・・・。でも、昨今の音はキックとベースがみんな同じに聞こえるんです。それに対するアンチテーゼをずっと思っていて。DJもアーティストもみんな思っていると思うんですよ。でも実際に若い人たちは、あの(どれも同じに聞こえる)キックとベースがないと踊らない。同時にどうしても「人を踊らせたい」という気持ちがあって。DJですから。そこを新鮮な音で踊らせるためにどうしたらいいか?そこで「アナログ」ということに意識が向かっている。 「アナログ」をキーワードに、自分がロンドンにいた時のようにスタジオを構築して、そこで音楽を創り、カルチャーを発信したい。という気持ちが出てきているんです。
当時、90年代初頭のロンドン時代に、Raja Ramをはじめシーン創世記のメンバーが揃っていて、ともかくそこにあったMatsuriのスタジオに毎日いろんな人が来て、そこでセッションして。というのが原点なんですね。
だからそういう場所を取り戻りたい。ということなんですね。
そして、単なる90年代の焼き回し、リバイバルじゃなくて若い人にも体験してほしいなと思っている。
 小張くんもご存知の通り、LOUDのエイタンとか、僕がブラザーとして一緒にやっているGorovichのニミーとか、みんなキックの音も最初からアナログにこだわって作っている。実際、そんな二人のアルバムが、今度Astrixのレーベル「Shamanic Tales Record」からリリースになる。それもまた僕的にもビックリで、これはアナログがキテる。ということだと思うんですよね。。。


 
小張 :なるほど、僕もここ数年LOUD をずっと追いかけて来ましたし、ヨーロッパで肌で感じているところなので納得です。
あとは、それを実際どこでやるか!? 楽しみですね。
 ところで、今回のインタビューシリーズでKEN ISHIIさんとも対談したんですが、KENさんも初期衝動の原点は当時CAVEでやっていたクドウさんのパーティーだった。って言ってましたよ。
 
TSUYOSHI SUZUKI : そうなんだ!?
 
小張 : え!? TSUYOSHI さんもご存知なかったんですか?
 
 
TSUYOSHI SUZUKI : じゃあ、イシイくんもクドウさんのトランスナイトにも来ていたんですね。
僕もクドウさんからですよ。 あの渋谷に土曜日は毎週のように通って。そこで知り合ったゴアから来たヒッピーたちと知り合いになって。その写真が最近出版されましたよね。藤代冥砂くんていう写真家の写真集が。その中で僕とかニックとかクドウさんのパーティーで遊んでいる写真も写っていて・・・。
ともかく、自分にとって当時、クドウさんのDJプレイが絶対だっんですよね。「クドウさんがかけたモノを僕もかける」。
クドウさんがかけたモノを、次の週にはレコード屋さんに行って「先週クドウさんがかけてたコレコレこれ。これ下さい!」って言って買う。みたいな。
 その頃、渋谷のWAVEっていうレコード屋さんがあって、そこでアナログを買い漁ってましたね。で、クドウさんのレコード持ちというか、ちょっとしたアシスタントみたいなことをさせてもらえるようになって・・・。
 で、いつの時か、クドウさんのトランスナイトのトップバッターを、「ツヨシ、やってみる?」って言ってもらえて・・・。
 
未だに忘れられないですよ。一曲目。針を落とすじゃないですか!?
その針を指が震えて落とせないんですよ!!
それを見たクドウさんが 大丈夫?って。。。笑
 「ツヨシ大丈夫??」って・・・
 「んーーーー・・・落ちた!!」みたいな。笑
いまだに忘れられないですよ。こんなにブルブル手が震えちゃって。。。
緊張しまくっちゃって。それぐらい自分の中ではクドウさんが絶対的な存在だったんです。
 

 
小張 : なるほど・・・笑
改めて、クドウさんの凄さが理解できました。そして、今回そんなクドウさんに影響を受けた、トランスとテクノシーンのレジェンドお二人、TSUYOSHIさんとKENさんの二人がクドウさんと一緒に揃う。っていうこの記念すべきパーティーにワクワクが一段と増して来ました。
TSUYOSHIさんのロンドン時代の話など、まだまだ聞きたいお話は山盛りんですが、今日は紙面の関係でこの辺で。ロンドン時代のスタジオ話はめちゃくちゃ面白いので、改めてお話聞かせてください。

TSUYOSHI SUZUKI : そうですね、今後の日本のシーンの話で言えば、DJカルチャー全体をプッシュアップしていくために、カンファレンスのようなものを日本でもやるべきだ。ということも思っていて、その辺も交えてお話しできたらいいなと思っています。
では11月16日はよろしくお願いしますね!
 
小張 :貴重なお話をありがとうございました。

注 : リターン・トゥ・ザ・ソース
“Return To The Source” は渡英したTSUYOSHI SUZUKIが、トランスレーベルMatsuri Productionsを立ち上げ開催していたロンドンでのレギュラーイベントの名称。



取材後記

TSUYOSHIさんとはここ数年、苦楽を共にして来たと言っていいほどいろいろなイベントでご一緒させてもらってきましたが、付き合えば付き合うほど面白い話が尽きなくて、まさにエンターテナーとだと改めて感じさせられたインタビューでした。
そんなTSUYOSHIさんについて、最も鮮明な僕の記憶は、ソルスティスの野外フェスのDVD ”SOLSTICE MUSIC FESTIVAL  global trance festival 2002"の中にありました。その中で若かりしツヨシさんが「人は踊ることをやめないだろう」と語るシーンがあります。自分もパーティーを続けてきた中で、時に心が折れそうになるときがありましたが、そのシンプルなメッセージに何度も助けられて、こうしてageHaでの仕事も続けてくることができました。
TSUYOSHIさん、そして皆さんの力を借りて、17周年は最高のパーティーにしたいと思います。特に、TSUYOSHIさん、クドウさんのDJを体験したことのない人にこそ、是非参加してほしいです。お待ちしています!
https://www.pioneerdj.com/ja-jp/product/software/wedj/dj-app/overview/