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“日本のダンスミュージックシーンを盛り上げたい”
「Tokyo Dance Music Event」への期待

 今年も「Tokyo Dance Music Event」(以下TDME)の開催が発表された。このTDMEは、会議あり、レクチャーあり、パーティーありの複合型イベント。世界各国の音楽業界に関わる人々が一堂に会し、日本のダンスミュージック市場の活性化を図ろうという取り組みだ。似た取り組みで有名なところだと、オランダ・アムステルダムで開催されている「Amsterdam Dance Event」(通称ADE)やアメリカ・マイアミで開催されている「Winter Music Conference」(通称WMC)が挙げられるだろう。
 
 このTDMEは、2016年に初開催された。“日本のダンスミュージックシーンに特化した国際カンファレンス”ということもあり、どのようなものなのか、私も時間の許す限り、とくにカンファレンスに参加した。“日本を代表する”や“世界的な”と形容される、さまざまな登壇者の話を生で聞くことができた。今年も一部プログラムが発表されており、すでに参加する予定だ。
 本稿は2回目となるTDMEが「もっと盛り上がってほしい」という私の願いと実体験を交えて、この取組みを紹介していく。


 
 記事を進める前にまず、TDMEの構成は「カンファレンス」、「セッション」、「ライブ」で成り立つことを知っておいてほしい。

カンファレンス

音楽ビジネス、マーケティング、アート、テクノロジー業界に従事している方向けのビジネスカンファレンス。昨年はカンファレンス終了後にパーティーが開催され、登壇者や様々な参加者とコミュニケーションを取ることもできた。今年はヒカリエホール・ホールAで開催。

セッション

著名アーティストが参加する楽曲制作者向けのワークショップが繰り広げられる。またスタジオセッションも行われる。今年はヒカリエホール・ホールBで開催。

ライブ

国内外のアーティストによる、渋谷エリアのクラブ/ライブハウスで開催されるライブイベント。写真はディスコの父、Giorgio Moroder。今年は、渋谷WOMBで開催が決定。さらに会場は増える予定。


 さて、昨年を振り返りたい。私が参加したのは、渋谷ヒカリエで行われていた「カンファレンス」。15分のプレゼンテーションもあれば、1時間に及ぶディスカッションもある。初日はフェスやクラブ、イベントにフォーカスしたプログラム。2日目は楽曲や流通、宣伝、消費にフォーカスしたプログラムだった。例えば、サマソニを主催するクリエイティヴマン、フジロックを主催するスマッシュ、今年EDCを日本で初開催させたGMOから、それぞれ代表者が登壇し「日本のプロモーターによる音楽フェス事情」をテーマにディスカッションが進んでいく。またエイベックス、ソニー、ビートインクそれぞれのレコード会社から代表者が登壇し「日本でいかにダンスミュージックをブレイクさせるか?」といったテーマのもと話したりもした。ほかにも「アジアのクラブシーンは今」や「Spotifyから考える日本の音楽の未来」といった興味深いテーマが続いた。私が参加した中で最も観覧者が多かったのが、宇川直宏とNina Kravizの対談。彼らは、今まで音楽主要都市ではなかった、ルーマニアやロシアといった、いわゆるローカルな国から生まれる音楽の魅力を語っていた。プログラムと登壇者を見ているだけで、どんな見解が示されるのだろう?と胸が高鳴ったのを覚えている。ディスカッションが英語で行われる場合、同時翻訳も行われ専用のイヤホンで日本語訳を聞くことができるのでご安心を。

 以下は、初年度を体験してみての所感であり私が思った改善点だ。やはり初年度、登壇者からはどこか探り探りの様子が伺えた。組織を代表してきているので極端な意見は言いづらいだろうから、それはしょうがないのだろう。議論しやすい環境作りは必要不可欠だと思ったし、異なる立場の者同士が議論し、参加者(お客さん)も一緒に考える場というのがTDMEの大きな役割だと考える。
 もうひとつ。会議と会議の間に休憩時間がなかったため、10分、15分でもあると非常にありがたい。登壇者に話しかけたりする時間にも当てられるし、真剣に人の話を聞き続けるのは結構体力を使うので。この場を借りてリクエストを出しておきたい。
 
 さて、今年も発表されたプログラムがすでに熱い。とくにテクノポップのパイオニア、Mute Recordsの創始者Daniel Millerが何を語ってくれるのだろうと思うし、今話題のblockchainについて、dotblockchainの代表Benji Rogersが登壇し話を聞かせてくれる。その他にも、インスタグラム・ストーリーズ・メディアのluteの代表取締役五十嵐氏やミュージックバーやウェブメディアを展開するSpincoasterの代表取締役の林氏など若い世代も登壇する予定。若い世代の起業家の登壇は、昨年見受けられなかったので、これも楽しみなポイントだ。
 
 TDMEの開催は、11月30日(木)から12月2日(土)の3日間、渋谷ヒカリエを中心とした複数の会場にて開催される。最後にひとつ。今年は次世代クリエイターオーディションも開催。クラベリア内オーディション特設ページにて詳細が確認できるので、皆さんの周りに才能あるクリエイターがいたら教えてあげてください。
 
■TDME公式サイト
http://tdme.com/ja/

■オーディション詳細ページ
https://clubberia.com/ja/features/tdme/


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