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DJ NOBU

もう、やりたいことが最初から明確に見えていたから、録音するときに大変だったぐらいで、アイディアとか構成はあっという間にできたんだよね。俺さ、いわゆる純粋なテクノのシーンで育ったわけでもないし、そういう人のテクノ解釈っていうかさ、テクノじゃない曲も収録されてるけど自分というフィルターを通したテクノ、自分たちでパーティーをやっていくなかででき上がったテクノのミックス、それをやりたかった。 有名な海外のミックスCDシリーズとかでも、俺からしたら手抜きにしか聴こえないものが多いんだよね。サラっと作りがちというか、あんまり気合い入れて作るような意識ってしてないんだろうなって感じで。でも俺はそういう捉え方じゃなく、ミックスCDを作りたいと思って。 それはそうだね。余計なことやってもね。自分がやれることで、この時間内で最大限に落とし込めるものっていうかさ。 4年も経ってるからね(笑)。 だから、ここではあえてアナログを使ったというか。アナログ愛は出したいし、アナログという存在に対して恩もあるし、もちろんこれからも使ってくけど。いいものは古いものでもいいし、最近はデータだけでやることもあるけど、最終的にDJがよければ、手法はなんでもいいわけじゃん。今回はアナログをあえて使うことによって、ひとつアナログのよさも提示したかったというか。 もちろん。でも、何回も録り直したけど(笑)。収録時間に収めるための編集はしましたよ。 あ~、わりと自分がわがままにプレイできるようにはなったよね。 悪い言い方かもしれないけど、前ほどお客さんに合わせすぎてはない。それでいて自分のやりたい音を出してるかな。俺のDJの楽しみ方もわかってて、それを楽しみにきてるっていうのがわかってる感じがする。 もちろん、もちろん。そのままやっていいんだっていう。 それはないな。それはぜんぜん違う。 ただ、自分の曲をこのなかに入れられるぐらい、自分の楽曲を作る能力が高くなったというのはあるよね。それはあのときからの成長でもあるだろうし。 そうだね。まだまだやれることはあると思うし、よくなっていくと思うし。 やっぱり責任感が大きくなってるよね。なんていうのかな、軽はずみなことも言えないしさ(笑)。DJにしてもなんにしても、もうちょっと深くものごとを考えるようにはなったよね。それはミックスCDの内容にしても出てると思うんだよね。 シーンを代表するわけではないけど、自分の周りにいろんな人とかいるけど、そういう人に対しても責任感はあるよね。 スイッチが入るとか、乗っかるとかさ。 そうそう。でも聴くと“ON"って感じでしょ? 自分のできることをやっぱり最大限にやらないと、もったないしさ。サラっとミックスCDとか作り過ぎなの多いじゃん。それってミックスCDの価値をどんどん下げるようなことだと思うからさ。もちろん、中にはそこに気持ちのこもったすばらしいものもあるけど。俺にとっては、いまだに7割は退屈なものしか出てないと思うから。なんか、そういうものを出してる人に対して「自分たちの首締めるようなことしていいの?」って思っちゃうから。だからこのCDには「このぐらいやってくださいよ」っていう意味合いもすごい含まれてる。 今年のはじめに見たマンハッタンのインタビューとかで、シーンに対して気楽なことばっかり書いている内容が多かったけど、俺はもうちょっと危機感を感じるようなコメントを書いてて、そういうところからして、自分たちをとりまく意識の差っていうのがすっごいあると思う。そういう意識がやっぱり、いろんなところに反映されるわけじゃん? 現場にしても作品にしても。そこの意識の違いは相当あると思うし、この音にも出てると思う。 ありがとうございます(笑)。 でもさ、アルバムを1枚作るよりも自分がいちばん得意としていることだからさ、本当に考えてやってるしね。 そうそう。どう調理するかってことだと思うし。 この「ON」につながるスタイルが、完全に完成されてきたっていうのが、2009年の三重の「ELEVEN」だったの。それのときのSE-1のフライヤーが「うわ、やっちゃいましたね」って感じで、そのイメージと合致したのね。 そうそう、オーストラリア館っていうところで。そのフライヤーが「ムー」の表紙をひたすらサンプリングしたんじゃねぇかっていう世界観で、それがパーティー自体の世界観とも通じるものがあって。俺のこともわかってて、「ELEVEN」の流れもあって、アートワークとして表現してくれるんじゃないかと思って頼んで。 いやそれはなくて、音を聴いてもらっただけで。 やってることは変わらないけど、お客さんも変わらないしさ。はじめの方はハウスが多くプレイされてたけど、いまはテクノ中心のパーティーが多くなってるけど、単純にどんどんアップデートしてるだけだしさ。あまり具体的には考えてないけど、その集大成っていうのはやりたいよね。 楽しいよ、そりゃ(笑)。