Golden Pudel
イギリス出身のMark PritchardとTom Middletonによるユニット「Global Communication」。アンビエントテクノにおける傑作「76:14」の生みの親であり、後世のアーティストに大きな影響を与えたこの伝説的なプロジェクト「Global Communication」に約15年ぶりに再び息を吹き込む。「SonarSound Tokyo」でのパフォーマンスを目前に控え、活動再開のきっかけ、パフォーマンスに関して話を聞いた。彼らの数少ない貴重なパフォーマンスに、多くの音楽ファンが今から待ち切れないでいるだろう。

Interview : beatink
Interpreter : Yuko Asanuma
Smallville


● Global Communicationの活動再開のきっかけは?

Mark Pritchard :
僕らは、Global Communicationとしてライブをやったことがなかったから。僕自身はやりたいと思ったことすらなかった。ライブで見て楽しい音楽でもないと思ったし、スタジオの機材を全部ステージに持って行かなければいけないなんてご免だったし(笑)。スタジオで作り込まれた音楽だったから、ステージ上でボタンを押すだけみたいなライブならやらない方がマシだからね。でも、Tomはずっとやりたいと考えていたんだ。ただ、今僕がオーストラリア、Tomがイタリアに住んでいるから、リハーサルをするのも大変だし、僕は僕で自分のHarmonic 313やAfrica Hitechの活動が忙しかった。だから、何度か話には出たんだけど、「そのうちね」と言ってずっと先延ばしになっていたんだ。
でも去年、「そのうち」と言っていては絶対実現しない、ということに気付いて。強引にライブの予定を入れて、やろうと決めた。その結果4回のライブを何とかやれた。それほど予算もなかったし、ヴィジュアルの準備も必要だったし、レーベルが後援してくれていたわけじゃなかったから、全て自分たちでやらなければいけなくて大変ではあったけど、とてもいい反響をもらえたんだ。やる度に進歩しているという手応えもあった。だから、「もう少しやろうか」という話になってね。

Golden Pudel


●私も含めファンはGlobal Communicationの新作を心待ちにしていると思いますが、新作をリリースする予定はありますか?

Mark Pritchard :
ライブと同じで、行き当たりばったりな状態だね。スケジュール調整の難しさがあるので、2人で一緒に作業できる場所と時間を確保するのが最大の課題。お互いそれぞれにやっていることもあるし、長い間一緒に制作をしていない。会って話す機会すらずっとなかったけど、今はライブをやるときにいろいろ話すし、その流れで何かアイディアが出て来てもおかしくはないね。ただ、具体的に何かやろうという話にはまだ至っていないよ。そういうこともあるかもしれないし、ないかもしれないな。


●今回のSonarSound Tokyo 2012でのライブセットはどのようなものになる予定ですか?

Mark Pritchard:
ああ。オリジナルのフィーリングは感じさせながらも、やはりアップデートされたものにしたいから、一部の要素は抜いたり、新たなものを足したりしてみているよ。


(右上へ続く)
● ライブではヴィジュアルも使用しているとのことですが、どのようなものなんですか?

Mark Pritchard:
大きなスクリーンを用意して、僕らはその裏側に立つようになっているんだ。だから観客からはそれほどはっきり見えない。ビジュアルをメインに見てもらうようになっている。まあ、シンセなどの楽器も並べているとはいえ、僕らはそれほど視覚的におもしろいパフォーマンスができるわけではないからね。男2人が並んでツマミをいじってるのを見てもそれほど楽しくないでしょう(笑)?だからビジュアルを前面に出すことにしたんだ。独自に撮影した映像を、音とシンクロさせて投影しているんだけど、今のところ見た人の反応がいいから、そのかたちで続けるつもり。


●ライブの際のそれぞれの役割はありますか?

Mark Pritchard:
Tomが、基本となるトラックをコントロールしているんだ。曲と曲をつなげたりとか、フェードイン/フェードアウトといったこと。メロディやエフェクトも加えている。僕は主にメロディと、エフェクトと、リズム要素を少々。セットの中盤でドラムを弾くところがあるんだけど、実はドラムマシンじゃなくて、僕がパッドを叩いているんだ。生で演奏するのはすごく難しいんだけど。でも、僕自身がそういった「生」の要素が欲しいと思ったし、全てコンピューターで制御されているようなライブならやりたくなかったからね、難しいけどだからこそ楽しいしやりがいがある。やっぱり後で聴き返すと少しタイミングがずれているところがあったりもするんだけど、それがライブの醍醐味だと思って楽しんでいるよ。正確であることだけがライブではないからね。


● 最後に日本のファンに一言お願いします!

Mark Pritchard:
そうだな、既にGCの音楽のファンでいてくれた人たちには、そのライブ体験を楽しんで欲しいと思う。これまで、ライブは1度もやったことがなかったから。もしかしたら90年代後半にはGlobal CommunicationとしてDJをしたことはあったかもしれないけどね、ライブは日本初。それに僕自身が楽しみなのは、Global Communicationの音楽を大きなサウンドシステムで聴くこと。90年代のヨーロッパのレイヴやクラブでは、「アンビエントルーム」、あるいは「チルアウトルーム」でこうした音楽をかけることはあったけど、ぶっ飛んで動けなくなっちゃった人とか、踊り疲れた人がゴロゴロするようなところだったから、妙な雰囲気でもあった(笑)。だから、こういう音楽が大きいサウンドシステムで主役としてプレイされることはほとんどなかったんだ。僕たちもGlobal Communicationをそんな風に聴いたことがなかった。だから「SonarSound Tokyo」で日中に巨大なシステムでって聞いた時は僕ら自身もびっくりしたよ。Global Communicationのサウンドは、とてもコントラスト豊かな音が詰まっているから、地震のようなサブベースが鳴っているかと思えば、ホワイトノイズのような音も聴こえたりして、同じ曲でも新しい命を吹き込まれたようだった。Global Communicationというと、メロディアスでやさしい音楽というイメージを持っている人が多いと思うけど、ライブではなかなか強烈だったから、それをぜひ楽しみにしていてほしいな。

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