テクノの歴史に多くの名盤を残してきたベルギーの名門レーベル<R&S Records>。
1983年に誕生し、80年代末から90年代のテクノ黄金期の中心にいたのは紛れもなくこのレーベルだろう。
今回のclubberia featuresでは、設立から30年以上たった今も、話題の楽曲をはじめ、
注目のアーティストを輩出する本レーベルを特集。所属アーティストを紹介するとともに、
レーベルオーナーのRenaat Vandepapeliere、新生<R&S Records>を代表する2組のアーティスト、
Alex SmokeとLakkerのスペシャルインタビューをお届けする。

ABOUT



 1983年、Renaat VandepapeliereとSabine Maesの二人によって設立したベルギー(現在はロンドン拠点)のレコード・レーベル<R&S Records>。80年代後半から90年代にかけて多くの名曲を世に放ち、テクノ史上もっとも影響力を持ったレーベルと言っても過言ではないほどの名門として知られている。
 これまでに<R&S Records>からリリースしてきたアーティストや楽曲を見ればそれは一目瞭然だろう。おそらく、テクノシーンを通ってきた人であれば、一度は耳にしたことがあるレーベル史上最大のヒット曲、Jaydeeの「Plastic Dreams」、アシッド・ハウスのアンセムとして多くのDJを虜にしたJoey Beltramの「Energy Flash」など、ここに挙げたらキリがないほど、今もなおテクノ・クラシックとして愛されている楽曲が数多く存在している。さらに、Aphex TwinやDerick May、Model500/Juan Atkins、Ken Ishiiといったテクノ史を語る上で欠かせないアーティストたちまでもがリリースしてきた。
 テクノ黄金期が過ぎ、さまざまな音楽が急速に変化していくなかで、<R&S Records>は一度倒産を余儀なくされる。だが、2006年に復活を遂げ、テクノという枠に捉われず、初期とはまた違う新たなアプローチで、常に話題となる音楽を発信してきた。その復活第一弾アーティストとして契約したDelphicをはじめ、新しいエレクトロニック・ミュージックの形を生み出し、10年代を代表するアーティストとして世界中にその名を広めたJames Blake、先日リリースした最新作「Fight」が話題のNicolas Jaarなど、これからのエレクトロニック・ミュージック・シーンを担うキーパーソンたちが続々と<R&S Records>の意思を受け継いでいる。しかし、かつてのテクノのDNAが未だ健在しているのも確かだ。それは、2000年代初頭から活動するLakkerや、来年アルバムの発売を控えているAlex Smokeの作品からも分かるだろう。初期にリリースされた作品から変化はあれど、良質な音楽を発掘し続けるレーベルの本質は、失われるどころかさらに磨きがかかっているようにも感じる。
 新生<R&S Records>だが、かつての栄光にも似たとてつもない何かが、新たな才能とともに再び誕生しつつある。今年でレーベル設立32年。これからもこのレーベルがシーンの最前線に君臨し続けるのは間違いなさそうだ。

SPECIAL INTERVIEW



Renaat Vandepapeliere


多くのアーティストに影響を与えるきっかけとなった音楽を、30年以上にわたって世に送り続けることができたのは、彼の変わることのない信念にほかならない。レーベル・オーナー、Renaat Vandepapeliereが語ってくれた。(more...)

Alex Smoke


2016年1月に、<R&S Records>からニューアルバムのリリースが決定しているAlex Smoke。フロア指向のダンスセットでも、独自のスタイルを持ったライブセットでも、常に新しい方向へと進化を続ける彼に話を聞いた。(more...)

Lakker


レーベルを代表するアーティストへと登りつめ、ベルリンを中心にヨーロッパ各地で高い評価を受けるLakker。10月23日(金)に初来日を果たす彼らは一体何者なのか。レーベルマネージャーが大プッシュするほどの逸材の魅力に迫った。(more...)