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SURVIVAL DANCE presents Blue Monday

経済至上主義の名の下に走り続けた日本の社会はいつの頃からか空洞化していた。
経済が上昇していた頃は社会に空いた大きな穴はかろうじて隠されていたが、バブル崩壊後から始まる長い不況や政治不信、東日本大震災と原発事故と続く中、次第にその姿を露呈し様々な社会的な問題が顕在化した。
我々が暮らす日本の社会は空洞化し、もはや幸せを感じる事に乏しい社会となった。

その様な現在の日本で我々が作るパーティーはどのような意義があり、それはどのような意味を持つのか。
そして私たちは音楽やパーティーを通じて何を伝え、何を表現しているのか。

空洞化した社会に生きる私たちにも何かに感動する事や喜び楽しむ事はとても重要だ。
いやむしろその様な社会であるからこそ普段の生活とは差別化された自分の趣味に没頭する事、気の合う仲間とのコミュニケーションや何かを与えてくれる新しい出会いといったもう一つのアイデンティティを確立すること、そしてそれを可能にするコミュニティの存在はとても大きな意味を持っている。

まさに私たちが作るパーティーとはその様な存在なのではないか。
そして私たちが表現したいものとは、その場において起こる様々なコミュニケーションの連鎖によって生じ増幅された“体験的”な感動や衝動であり、そこから生まれるであろう「文化」なのではないか。

その様な事をおぼろげながら今までもずっと意識してきたのだが、SURVIVAL DANCE の登場は改めてその衝動を自覚させ、レギュラー化した SURVIVAL DANCE の進化の過程を目の当たりにしたことでそれはより確かな輪郭を帯びていった。
果たして今年行われた前回のパーティーを体験した事でその思いは決定的となった。

SURVIVAL DANCE を主宰する3人が主張した自己の確立と国内アーティストへのこだわりは共鳴性とパトリ的な地域共同性を含みそれが周囲へと“感染”することでコミュニティを形成するに至り、音楽や踊ること、パーティーごとにテーマを設けるという手法はさらなるコミュニケーションの連鎖を促した。

これはとても重要なポイントである。
良きパーティーを形成するコミュニケーションの連鎖は、アーティストやスタッフら「送り手」のみにあらず「受け手」である来場者が主体として機能する事なくしては起こりえない。
だから本来的に「送り手」が提案する音楽への知識やパーティーへのモチベーションに感応するリテラシーを「受け手」は要求される。
それを SURVIVAL DANCE はナイトサファリやカラーというテーマを設ける事で「受け手」にもパーティーを作る大切な役割としての意識を与え、それを実行する事でそこに連鎖へと繋がるコミュニケーションを創発させる事に見事に成功したのである。

もともとは SATOSHI OTSUKI , KIKIORIX , TAKUYA のたった3人の想いからスタートしたコミュニケーションが人々に感染し、少しずつ大きなものへと変わっていった。
このコミュニケーションの連鎖はまだまだ続くだろう。
そしてその連鎖はさらに私たちに大きな感動と衝撃を与えてくれるものと信じる。
そして忘れてはならないのはその大きな連鎖を生む為のコミュニケーションの一つ一つを私たち一人一人が作っているという事。
ただ依存し求めるだけの客体ではなく、引き受けて持ち込む主体としてパーティーに責任を負っているという事だ。

私たちが作るパーティーとは現在の日本が露呈した無責任の連鎖による空洞化した社会において、共同性や責任性、感動や喜びを得るための有効なコミュニティとしてとても重要な意味を持つのだ。
SURVIVAL DANCE はその有効性を今最も表現している貴重なパーティーなのである。

そして今年2回目となる SURVIVAL DANCE が6/29(金)に WOMB にて行われる。
今年の SURVIVAL DANCE は一年を通して「色・カラー」をテーマに設ける。
前回は「黄色・イエロー」をフィーチャーし様々な仕掛けが行われ大きな盛り上がりを見せていた。
そして SURVIVAL DANCE presents BLUE MONDAY と題された今回は「青色・ブルー」をフィーチャーし、前回を上回る世界観を表現してくれるだろう。梅雨を吹き飛ばす初夏の爽やかなパーティーをぜひ期待したい。

また今回の注目点として、メインフロアにシーンで同じように重要な表現を続ける Fasten Musique Cocrete のメンバーでありアーティストとして活躍する YOSHITACA が招かれラインナップされている。
そして 4F VIP Lounge では KIKIORIX がホストを務め、TRESVIBES @ WOMB を主宰しアンダーグラウンドな観点からシーンを支える重要アーティスト PI-GE と TARO の彼が信頼を寄せる二人を招いて 『SD Lab』 と題した 「Laboratory=実験室」 の意を汲んだ世界観を表現するという。

今回もそれぞれの場所、それぞれの瞬間で様々なコミュニケーションが生まれ連鎖し、SURVIVAL DANCE という素晴らしいパーティーが表現されるだろう。その瞬間を想像するだけでパーティーがとても待ち遠しい気分になってくる。

TEXT BY ARAKI