SMOKER

ある曲の、ひとつのベース音を味わう。歌声と共に混ざるかすかな息遣いを聴き取ろうと目を閉じる。コンガを人間の手で弾く時の生々しい摩擦音がちらりと見え隠れする。そこに一個の灯されたろうそくがやってきて、いっそうダンスフロアが優しくなる。踊る人達の表情は朗らかでもあり、何かを考えている風でもあり、泣き顔に近かったりもする.......Smokerというパーティには、「音楽」という言葉から導かれる多種多様な感情・文化・人間性がゆるやかに混ざっている。クラブカルチャーをどんな風に捉えるかはそれぞれの生きてきた環境によると思うけれど、こんなに多勢優勢の、生きにくい世の中で自分を取り戻す場所をパーティと位置づけるならまさにSmokerがその場所なんじゃないかな。音も人も空気もゆっくり、でもちゃんと在りのままで居ることのできる何処かへ心を連れてってくれる、そんな場所。(nagi)