小張 正曉

DFY Inc. 代表/ageHaイベントプロデューサー

2000年前後より、クラブ・野外レイブシーンでオーガナイザーとして、またVJとしても活動。2008年よりageHaの社員として、運営、企画全般に従事。2013年6月からはフリーランスとして活動。2015年に会社を設立後、現在もageHaの企画に深くコミットしつつ、オリジナリティ溢れる企画を展開している。

https://www.facebook.com/DANCEONTHEPLANET

DIY精神と協力がシーンを創る

 今年もageHaを中心に多くのイベントで仕事をさせてもらいました。1月の「OZORA One Day in Tokyo」。3月と10月に「DANCE ON THE PLANET」。5月に「Matsuri Tribe Festival」。11月に「TIP FESTIVAL」などなど。
 そして、夏には1ヶ月をかけてハンガリー「O.Z.O.R.A. Festival」、ボルトガル「Boom Festival」を回り、取材を兼ねつつアーティストやレーベルオーナーたちとミーティングしてきました。その模様はクラベリアさんでも記事を掲載させてもらったので、読んで頂いた方も多いのではないかと思います。

【O.Z.O.R.A. Festival 2016 クラベリアレポート】
前編 http://www.clubberia.com/ja/reports/2241-O-Z-O-R-A-FESTIVAL-2016/
後編 http://www.clubberia.com/ja/reports/2242-O-Z-O-R-A-FESTIVAL-2016/

 その舞台裏で目の当たりにしたのは、自分たちの力でそのシーンを文化として積み上げていこうとする強い意志と人々の協力体制です。
 例えば、Trancentralというトランス/サイケデリック専門のプロモーションチームがあるのですが、彼らはレーベルやプロダクション、エージェンシーなどの垣根を越えて、SNSやYoutubeなどのプロモーションを行っています。しかも、アーティストに帯同し、自分たちで撮影し、その場でアーティストと写真や動画をピックアップし、その場でポストしていく。日本の常識で考えると、アーティストの側からは競争相手、商売敵のプロモーションをしている。ということになるはずですが、アーティスト同士にもリスペクトがあり、シーン全体で協調していくことの重要性が理解されているからこそできるのだと思いました。Trancentralは一例ですが、こういった協力関係の集大成が「フェスティバル」であり、その精神がお客さんにまでしっかりと浸透しているからこそ、あんなにも美しいフェスティバル空間が創り上げられているのだなと大変感銘を受けました。

 そして、日本に目を移すと、この一年、トランス/サイケデリックのシーンでは、中・小規模の野外イベントが非常に増えた、というのが第一の感想です。DIY精神で自分たちが創りたいものを創ろうとすると、必然として野外イベントになる。そしてDIYで野外イベントを創るために、もっとも必要とされるのは人々の協力する意志でもあります。こうした志ある小さなコミュニティが協力し合うことで、やがてより大きなうねりになり、シーンを創っていく。日本の既成の枠組みに囚われることなく、可能性を信じて、皆でシーンを盛り上げていかねばならない。そう強く想った一年でした。

 写真はPerfect StrangerことYuliと、TrancentralのShaharと、OZORAのバックステージで。来年も日本の、世界のダンスフロアで会いましょう!!