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Native Instruments Beat Fighter Tour in Tokyo

Native Instrumentsが、日本初となるMASCHINE / TRAKTORのワークショップとショーケースの豪華ジャパンツアー「Native Instruments Beat Fighter Tour」を開催した。11月14 日(木)Dommune を皮切りにスタートした当ワークショップツアーは、名古屋、大阪、福岡、札幌で開催され、11月21日(木)に東京は秋葉原といったデジタル機器ならではのベニューで行われた。
 
今回のツアーは2人のスペシャリストを招いての開催。まず2度のDMCワールドチャンピオン経験を誇るTRAKTORスペシャリストDJ SHIFTEEと、MASCHINEのプロモーションビデオにおいて超絶テクニックを披露し世界中を震撼させたJEREMY ELLIS。ワールドワイドに活躍する2人のリアルなアドバイスを直接受けることができるというスペシャルな機会で、開場と共に来場する人で賑わっていた。

   
まず、先にレクチャーを行ったのがDJ SHIFTEE。DJ SHIFTEEのTRAKTORセットアップは、

TRAKTOR KONTROL Z2
TRAKTOR SCRATCHタイムコード・ヴァイナル TT×2
TRAKTOR KONTROL Z1
iPad (TRAKTOR DJ)
MACHINE STUDIO

始めに軽いデモンストレーションを見せてくれたが、さすがDMCワールドチャンピオン 。TRAKTORならではのCUEポイントを巧みに使ったスクラッチループでビートを刻みミキサーやiPadを楽器のように扱っている。超高速テクニックで見ているだけでは何をやっているのかは全て把握できない。呆気にとられたデモンストレーションが終わり、来場者はDJ SHIFTEEのテクニックに興味津々。まずセットアップやアサインしているプラグインの説明などをしてくれた。
中でも彼の中で革新的だと話してくれたiPadでのTRAKTOR DJの使い方にデジタルDJとしてだけではない可能性を感じとることができた。TRAKTOR DJはDJアプリと思っていたが、演奏ツールとしても使える。波形を指先でタッチし、ハンドモーションで加工しながらプレイができるのだ。特にDJ SHIFTEEが気に入っていると話していたFreeze Modeは画期的だった。トラックをプレイする部分にスライスして、これをすぐさまリミックス、キューポイント、スクラブ、ブラウジング、ナビゲーションなどを波形にタッチしながら行い楽器のように扱う事ができる。DJソフトウェア、インターフェースとしての機能を自分の指先で思いのままに操れるという素晴らしい機能だった。

   
続いてJEREMY ELLISに変わりMASCHINEを使用したレクチャーがスタート。MASCHINE STUDIOとMASCHINE 2.0と見た目はシンプルだが、その見た目からは想像もできないような音のレイヤーに度肝を抜かれた。フィンガードラミングといった呼び方では言い表せられない程のパフォーマンス。指先の動きは目ではおえない程素早く華麗でリズム、ハーモニー、メロディーの全てを同時に奏で、さらに同時にエフェクトを巧みに操っており、まさに人間業ではない。

レクチャーが進むにつれJEREMY ELLISが一通り自身のセットアップやテクニック、どのような音源をサンプルとしているのか、パッドへのレイアウトなどをレクチャーし終えたところで、質疑応答の時間になった。

「ただ1つとして正解は無い」ということを全ての質問に対する回答として述べていたのが印象的だった。始めは「?」と思った質問者達も納得するように実演や自身の生い立ち、活動からの経験を交え答えていた。JEREMY ELLISは元々グランドピアノを奏者の一家で育ったという事から、あの素晴らしいテクニックにも納得ができた。ただ、5本の指×2つの手=10という超人的なテクニックの可能性だけではなく、誰しもが始めは通過するであろう人差し指のみでのプレイも圧巻のパフォーマンスを見せてくれたりパッドの何処にどんなサンプルを入れ、次に予想する展開を旨く展開する事でパフォーマンスを高める方法等、何が正解かを自分たちのやり易い、そして何を目的として触っていくかを導きだす様な応答に感銘を受けた。
 
   
一通りレクチャーが終わった所で、両者のパフォーマンスタイムが始まった。先にDJ SHIFTEEがプレイ。先ほどのレクチャーでのデモンストレーションの様なスクラッチを軸としたプレイでブレイクビーツやロック、ハウスなど幅広いジャンルを短時間で1つのグルーブとして組み立てつつ、時々小ネタを盛り込んだパフォーマンスでオーディエンスを沸かせた。スクラッチにこれだけの要素を盛り込みながらも体全体を使ったパフォーマンスはバトルDJの枠を越えたもはやLIVEに近い演奏であった。

そしてJEREMY ELLISにバトンタッチ。レクチャーのデモンストレーションに加え、DJのような手法でサンプルを巧みに併せて行くパッド使いから始まり、徐々にビルドアップすると共に、そのフィンガーテクニックも加速して行く。 MASCHINE TUDIOとMASCHINE 2.0を同時に操作、16×16の32個のパッドを両手交互に叩くなど、スクラッチループに似た様な使い方でビートを刻んでいく。さらには顎を使うといったパフォーマンスも見せオーディエンスを沸かせた。DJ SHIFTEEに対抗するかの様にJEREMY ELLISもマリオのサンプルを使ったり、バラエティーに富んだパフォーマンスを見せてくれた。

最後には両者が同時にバトルというよりかは1つのBANDかのように、JEREMY ELLISEはビートを刻み、そこにDJ SHIFTEEがスクラッチを被せ、即興セッションという何とも即興とは思えない程のシンクロセッションで、両者の技術の高さでオーディエンスのボルテージはピークに達した。アンコールでは両者のセッションに加えDJ SHIFTEEが即興でJEREMY ELLISEの様にMACHINEでフィンガードラムをしながらスクラッチループをするなど、超人的パフォーマンスで幕を閉じた。

終了後には懇親会の様な形で来場者とアーティストが気軽に触れ合う時間もあり、来場者も参加するといった形ができたワークショップならではのイベントで、楽しく学べる素晴らしい時間を共有できた。