2014-11-13 UP

SON KITE

北欧はスウェーデン出身のMarcus HenrikssonとSebastian Mullaertの2人から成るSON KITE。
昨今は〈Cocoon〉傘下においてMINILOGUEでの活躍が脚光を浴びる中、SON KITE名義としての作品は10年ぶりとなるアルバム『PRISMA』を11月12日にリリース。そして11月21日(金)大阪“Circus”、22日(土)新木場“ageHa”でのライブも控えているプロモーションタイミング格好な彼らに10年ぶりとなる活動の心意気を尋ねた。

 
Interview :KOTARO MANABE
 

- SON KITE=トランスというような位置付けでここ何年も語られていたように感じるけど、それは決して僕らの本意ではなかった。それは、シーン側がSON KITEをトランスと位置付けたかっただけに過ぎないんだよ。-
 

- SON KITE名義では10年ぶりのアルバムリリースとなりますが、これほどまでに長い年月が経ってしまった理由はあるのですか?
 

Marcus:これまでに3枚のアルバムをリリースし、ツアーを回ってきた後に、僕らSON KITEで表現したかった事は一通りやり遂げた感じがして、新しいインスピレーションを得るためにもしばらくはMINILOGEの活動に集中したいと考えた結果、気がつくと10年も経ってしまっていたんだ。
MINILOGUE名義では多くのシングルやリミックスをリリースしてきた他に、2枚のアルバムを〈COCOON〉から発表したんだけど、これらは大概テクノのフィールドでの活動となっていたんだ。とにかくここ数年はMINILOGUEでの活躍が忙し過ぎてSON KITEとして集中してクリエイトするには時間が無さ過ぎたんだと思う。
 

- そんな10年の間に音楽的な方向性も大分変わってきたと思いますが、心境などにも変化はありましたか?
 

Marcus:ツアーや作曲に費やした20年間を振り返ってみて、僕自身この数年は非常に変革的な経験をしてきたと思うんだ。そんな中でアンバランスな現代社会の構造の呪縛から解放されたような「目覚め!」を体験した。
「何故僕は音楽を作りたいと感じているのだろう?」と初心に立ち戻った時期でもあった。
踊る事への情熱を失ってしまったような、アーティストというよりは機械的にダンスミュージックを創る事に捕われたような感覚が自分自身にある中での作曲活動をすごく恥じていて、そのような呪縛の根源は、現代社会スピードに僕がついていけなくなってしまってたとも考えたよ。
 

-ライフスタイルが作曲活動に反映するだけでなく影響も与えているという事ですよね?
 

人々は、何百年も続いているお金やビジネスという概念に捕われ、喜びを犠牲にしているように感じるし、これまで集団的理想社会で生きてきたことで自身もバランスを崩してしまっていたんだろうね…。今では違う視点から物事を見る事ができるようになれたんだと思う。そして踊ることで自己表現をするという、人間のDNAに刻まれている行動の重要性をもっと見つめ直すべきだと思っているんだけど、現代社会は自由に踊る事を許されていないような構造だよね。
PRISMA』は、エレクトリックミュージックが本来持っていたスピリットを再建し、ダンスフロアで自我を解放する事にテーマを据えているんだ。
エゴを捨て去りダンスフロアに身を投じて踊る。それこそが本来の意味でのトランスであり、自分自身を癒すために必要な行為だと思っているよ。
僕らはSON KITEを再スタートできる事を非常に嬉しく感じているんだ。
 

- 前作と比べて楽曲制作の方法などに変化はありましたか?
 

Marcus: 『PRISMA』はファーストアルバム以来ものすごく時間があいてしまった作品だけど、そういう意味ではその年月によって風味が出ているし、進化はしていると思う。曲の表現的にはプリズムに白い光を送り込むと七色の光線に変わることに似ているのかな?基本的な曲作りの手法は以前と変わっていないよ。一番最初に作った曲は2007年に制作したものもあって、うち2曲はここ数ヶ月の間で作ったものもある。その曲同士の間には7年もの隔たりはあるけれど、いずれの曲もその瞬間に沸き上がる感情を凝縮して表現しているつもりだよ。
 

- MINILOGUE名義との使い分けに関して明確な定義があるのであれば教えて下さい。

Marcus:ダンスミュージックシーンの初期は曲の定義やスタイルに関してはあまり重要視されていなかったと思うんだ。そういう事よりもみんなで集まって夜通し踊るという事のほうが重要だった時代….。
時が進むごとに音楽のジャンルが細分化されていって、テクノ、トランス、ドラムンベース…そしてそこから先もさらに細分化されていってるよね?
そんな中、SON KITE=トランスというような位置付けでここ何年も語られていたように感じるけど、それは決して僕らの本意ではなかった。
それは、シーン側がSON KITEをトランスと位置付けたかっただけに過ぎないんだよ。僕自身はジャンルに隔たり無く様々なダンスミュージックの要素を取り入れた活動をしたかったんだけど、もはやSON KITEという名義ではトランスしかやらせてもらえないような環境になってしまっていたんだ。
そうした中、ジャンルに縛られる事無く自分たちの音楽を奏でる環境を作るためにMINILOGUEを始動させて、テクノやハウスといったシーンでも活躍するようになっていったんだ。
異なるダンスミュージックのシーンを行き来するために名義を使い分けざるを得ない状況だったというだけで、僕の中ではSON KITEもMINILOGUEも区別している意識は無いよ。僕は名前とか関係なく純粋に音楽を作りたいだけなんだ…。
 

- そもそもMINILOGUE はSON KITEのアルバムタイトルでしたよね?
 

Marcus:当時SON KITEのアルバムタイトルを考えている時に「Minimal(最小限)」と「dialogue(対話)」という単語を組み合わせるアイディアから『MINILOGUE』としたんだ。
SON KITEのアルバムコンセプトを当時「最小限の要素で行う対話」という風に感じていたから。
そんなコンセプトは僕らがテクノやハウスシーンで活躍していく上で名乗るには格好だと思ったから、MINILOGUEを名乗って活動するようになったんだ。
 

- 父のレコードコレクションの山の中から最初に手に取ったのがPink Floydの『The Dark side of the Moon』だったんだよ。このレコードは子供の頃に父と一緒によく聴いていた1枚なんだ。-
 

- 今回のアルバムタイトル『PRISMA』にはどのような意味が込められているのですか?
 

Sebastian: PRISMAはスウェーデン語で、英語表記で言う「プリズム」の意味。実は今年のはじめに僕の父が90歳という年齢で他界したんだ。彼は永きに渡って素晴らしく美しい年月を重ね、人生を全うできたと思うんだ。そして死後数週間経って、彼のレコードコレクションを見つけた。それを見つけた時に僕が幼い時に聴いて育った音楽の記憶が蘇ってきたというか…。
それは僕にとってとても重要な要素となっているルーツの1つでもあった。
そんな父のレコードコレクションの山の中から最初に手に取ったのがPink Floydの『The Dark side of the Moon』だったんだよ。このレコードは子供の頃に父と一緒によく聴いていた1枚なんだ。このアルバムジャケットには「プリズム」が描かれていて、それが僕の意識の中に数週間かけて何かしらの形でサインを送ってきたり、語りかけてきたりしているような気がしたんだ。
そんなタイミングでマーカスと一緒に「SON KITEの次のアルバムタイトルをどうしようか?」という話をしていた。
僕の解釈では「プリズム」は、物質的顕現として7色となって投影される以前の「生命」「意識」「存在」など、人それぞれに様々な言い方はあると思うけれど、プリズムを通過させる事によって、そうした眼に見えない内面の真実を映し出してくれるもののシンボルとなるものだと考えているんだ。
アルバムは、そうしたプリズムのような役割を果たす作品にしたいと思った。
 

- MINILOGUE、SON KITE共に、1曲の尺が10分を超えるトラックが多く見受けられますが、曲の長さに対してのこだわりや意図を聞かせて下さい。
 

Sebastian: 音楽、そしてダンスミュージックは、幸福を呼び覚ますための素晴らしいツールだと考えていて、音楽に併せて踊るという行為は、長時間に渡って瞑想する際の最適な方法だとも思っています。
なので、メディテーティブな音楽でそうした状況を作り出す際に、曲は長尺が理想だというのが僕らの理念。
 

- 本作のCD版が曲毎に分かれているのではなく1枚を通して切れ目無く繋がっているのには、そのような意味も含まれているのですね。
では、そうしたアルバム制作の根幹となるものはどのような所からチョイスしていますか? 

Sebastian: このアルバムは前作『Colors』から数年経過してから着手し始めたけど、様々な事情で完成に10年もかかってしまった。マーカスがこのインタビューの前半で語っていたように、MINILOGUEやソロ名義での活動で手一杯だったという理由もあるけど、もう一度自分が皆に人生を語りかける事が必要だと感じてから、SON KITEを始動させるにはこの年月はある意味完璧であり必要な時間だったと実感しているよ。
この10年は、僕とマーカスが2人の存在している全ての事柄を思い起こすまでに要する時間、そしてさらに強力なツールをSON KITEに導入する準備に必要だった時間なんだ。
 

- それらのアルバムコンセプト、アイディアやインスピレーションはどういった所から来るのですか? 
 

Sebastian: 僕もマーカスも、僕らが出会う全てのモノからインスピレーションを得てると思う。それは音楽だけでなく、僕たちが生きて生活して行く上での事柄でも同じ事が言えると思うんだ。そして人々の人生を鼓舞するための音楽、つまりダンスミュージックを作りたいという意図が常に僕らの根底にあるんだ。
 

- ありがとうございました。では最後にMINILOGE及びSON KITEの今後の活動予定があれば教えて下さい。

Sebastian:
僕らは一旦MINILOGUE名義での活動を休止させて、SON KITEでのプロジェクトに焦点を当てたところ。だからしばらくの間は、このアルバムリリースに伴ったツアーで全世界を回る予定だよ。
ダンスミュージックシーンが年々膨大になってきているのを感じていて、それに伴って多くの反応が出始めていると思う。そんな中で僕たちはSON KITEの音楽を通じてたくさんの愛をみんなと共有していければと願っているよ。
 

- Release Information -

アーティスト:SON KITE
タイトル:PRISMA
発売日:11月12日
価格:2,500円(税別)

■クラベリアリリースページ

http://www.clubberia.com/ja/music/releases/4554-PRISMA-SON-KITE/

 

- Tour Information -

11月21日(金)大阪"SIRCUS"

http://www.clubberia.com/ja/events/229339-SON-KITE-4th-ALBUM-PRISMA-Release-Party/

11月22日(土)新木場"ageHa"

http://www.clubberia.com/ja/events/228722-UNIVERSAL-SOUNDS-OF-ORCHESTRA/
 

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