INTERVIEWS
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JOAQUIN "JOE" CLAUSSELL

その前にまず、クラベリアの音楽とアーティストに対する貢献について謝意を表したい。クラベリアは僕のことだけでなく、現在のクラブミュージック全体をサポートしている。特にいま日本でクラブの取り締まりが厳しくなる中、クラベリアの取り組みは非常に重要なものだと思うので、大変なこともあるかと思うが今後にも期待している。

質問についてだが、Body&SOULは僕自身もとても楽しかったし、来てくれた人たちの反応も良かった。それまでは天気に悩まされていたけど、今回は素晴らしかったね!フランソワとダニーも同じように感じていると思う。新しいロケーションや装飾もすごく良かったし、パーティで1番大切なお客さんもみんな楽しんでくれていたと思う。B&Sに新しい風を吹き込んでくれたね。そして来年はさらに良くなるはず!石原さんとスタッフの、このパーティーと音楽、ダンスに対するコミットメントに賞賛を送りたい。 日本に初めて来たのは1993年だね。札幌のWallファミリーが呼んでくれたんだ。そのパーティはLarry Levanのバースデーパーティーで、僕がゲストというかたちだった。今までDJした中でベストの体験の1つだね。日本のみんなの情熱とUSの音楽に対する愛には、今も畏敬の念を抱いている。 自分なりの確固とした意見をはじめ言いたいことはたくさんあるが、短くまとめよう。日本とそこに住んでいる人たちは自分にとってとても大切だ。もう19年も来ているからホームのような感覚でいる。最初のころは深く考えはしなかった。パーティのことで頭がいっぱいだったからね。しかし徐々に目が開かれ、日本という国や日本の人たちの素晴らしさが分かっていった。今の僕のミッションは、日本をサポートすることだ。先日、7月17日には、何千もの人たちと一緒に東京の反原発デモに参加した。原子力に頼ろうとする政府に自分たちの声を聞かせるためにね。この経験で日本のみんなをもっと近くに感じることができた。日本にはわれわれ西側の外国人が学べることがたくさんある。しかし同時に、日本が失っているものもあると僕は感じている。日本固有の美しさや文化を西側のものに置き換えてしまうのは、大きな間違いだと思うよ。でも反原発デモに参加する中、僕は日本人が自分たちの権利のために団結している姿をこの目で見て、僕は自分の信念を新たにした。もう1つ、音楽を通して日本の若者に誇りを持ってもらうこともミッションだと考えている。彼らには伝統的な着物を着ていてほしい。僕にとって着物を着た日本の女性がドラマーに囲まれてアフリカの音楽で踊っている姿は、彼女がアフリカの民族衣装を着るよりずっと美しくてパワフルだ。 特にYellowがクローズした後、ダンスミュージックのシーンは縮小した。Yellowが閉まったとき、今後3年は日本でDJしないと決めたのだが、しばらくして考え直し、みんながクラブに行かない原因は僕たちDJに責任があるはずだという考えに至った。踊りというのはわれわれができることの中でもっとも神聖でポジティヴなことだから、なぜ踊りにいかないのかとても不思議ではある。しかし日本では法律という壁がある。個人的には、この法は人々を分断するためだけにあると考えている。人々が1つになり、戦いや憎しみに対抗する平和の武器と言える音楽のマジックに触れさせないためにね。解決策はシンプルだ。踊り続けること。家でも、職場でも、寝ている時でも、街中でもね。 僕はアートと音楽のために生きている人間で、宇宙に終わりはないことを知っているから、たくさんの才能あるアーティストたちが声をかけてくれる。相変わらずいろいろなおもしろいプロジェクトが進行しているが、すぐに挙げられるのは、若い映画監督たちとのコラボレーションだ。僕はエグゼクティヴプロデューサーと音楽監督を兼任することになっている。もう1つとても楽しみにしているのが"An Invitation To Openness"という自分のオンラインラジオ番組だ。あらゆるジャンルにわたる音楽をかけるこの番組は、僕なりの自由の表現なんだ。番組は放送を少し休んだが9月の第一週から再開する。スケジュールはここに掲載している。
http:// www.joaquinjoeclaussell.com/projects/an-invitation-to-openness 音楽をやる前は山に住んでいた。昔は家具のカスタマイズをしていたんだ。音楽遍歴に関しては僕が知っているDJやプロデューサーの中でも変わっている方だと思う。他のDJは有名なDJを通じて音楽を知ることが多いけれど、自分はDJになるまで母親と兄の持っていたディスコ/ガラージ/ロフトクラシックのコレクションの影響がすごく大きかった。Lamont Dozierの"Going Back to My Roots"やWarの"City Country City"を初めて聴いたのはクラブじゃなくて家だったんだ。 先ほど言ったようにDJやアーティストになるのが目標ではなかった。なぜいま自分がこんなことをしているのか、自分でもよくわからないが、周りの人たちが自分でも気付かなかった音楽の才能を見いだしてくれた。フランソワがBody&SOULに誘ってくれたように。きっと宇宙が僕に音楽をやれと言っているんだろうね。 音楽を作るというは自分自身の心と魂からくるとてもパーソナルなことだから、誰かの音楽をコピーしようとは思わない。自分にとって意味のあるものだけを作っている。ただ変わったこともあって、制作に対しては前よりもずっとハングリーになったし、いろいろな音や文化を曲に取り入れたいと思っている。プロジェクトを進める中で出てくる課題に挑戦するのも好きだね。今はBugge and Friendsのアルバムをプロデュースしている。おもしろくなりそうだよ。秋にリリースされるはず。ついこの間はRadio Slaveがアルバムを丸ごとリミックスしてほしいとオファーしてくれた。一緒にミニツアーをする計画もあって日本にも来れるはずだ。 この質問に答えるだけでインタビューが終わってしまうほどだが、なるべく短くまとめたいと思う。クリエイター(神と呼ぶものもいるが)と聖なるスピリットが僕にDance Tracksをもたらした。いいレコード店はたくさんあるが、自分にとっては今でもDance Tracksがベストだ。素晴らしい音楽が揃っていたというのもあるが、もっと重要なのはあの店には音楽への愛しかなかったということだ。日本のCiscoやDMRと同じく、Dance Tracksの閉店はダンスミュージックカルチャーにおける大きな喪失だ。 僕は信心深くも何かの宗教の信者でもないが、音楽が僕の宗教だ。世界を1つにするものだからね。Spiritual Lifeという名前は、僕が音楽を聴く時に抱く感情やヴィジョンから来ている。あるコードやメロディは宇宙的な体験(宗教的な意味ではない)をさせてくれる。目の前に宇宙の景色や天使のようなものが見えるような。もし誰かが僕の音楽にスピリチュアルなものを感じるとしたら、それは僕の魂が地球の奏でる音、深宇宙、リズム、そしてコズミックな音色と繋がっているからだ。 音楽が好きな人たちのためにDJをすることに対して、これまで以上に真剣に取り組んでいる。人間がさまざまな問題に立ち向かう中、自分のDJとしての役割は重要性を増している。みんなハッピーになりたいと思って僕のDJを聴きに来る。彼らの魂を癒すためなら何時間でもプレイするよ。じっと見つめるのは、僕らが繋がっていることを確認するため、それと僕はみんなと一緒にいるということを知ってもらうためだ。この繋がりは何にも邪魔をされたくない。それがラップトップでDJをしない理由だね!

あと僕らは一緒にできる限りいいパーティをしているわけだから、僕には彼らのエネルギーが必要だ。アイソレーターについてだが、これについては非常に深く、長いディスカッションが必要だ。スピリットや宇宙に関するあらゆることが関わっているからね。 取り急ぎここで言いたいのは、あれは何かのショーではないんだ!ということだ。自分はパフォーマーではないし、僕はDJの中でも特にナーバスでシャイな方だ。DJをする時は文字通り別の次元と繋がって地球のリズムを感じる。このエネルギーとオーディエンスとのコネクションが、頭蓋骨の前の部分にある小さい窓から入ってくるんだ。僕のアイソレーター使いを嫌う人がいるのは知っているが、まだ足りないという人が世界中にものすごく大勢いる。彼らは 僕を通して宇宙から発信されているものを感じている。彼らも同じように取り憑かれているんだ。 自分自身でいること。絶対に他の人をコピーせず、自分の夢を誰にもじゃまさせないこと。 ニューヨークは変わってしまったけど、それでもまだかなりいい音楽の文化がある。ニューヨークだからね! 素晴らしいフェスに招待してくれたオーガナイザーに感謝したい。とても光栄だ。何が起こるかはそのとき次第だが、周りの環境と合うように、みんなが楽しく踊れるようにベストを尽くすよ。 こちらこそありがとう!Peace and Music.