2012-08-09 UP

A.MOCHI

Len Faki、Luke Slater、Francois Kといった重要人物に認められ、東京からベルリン、そして世界のテクノシーンで活躍し続けるプロデューサー、A.MOCHI。今までの音楽遍歴や、音楽活動、WIREについて、そして今後の目標などについて話を訊いたが、その中で見えてものは、自然体で音楽に接する彼の姿勢。曲作りが楽しいから、曲を作り続けたい。そのピュアな衝動は、何かをする上で基本的なことであるが、普段の生活の中でどこか気負ってしまいがちになってないだろうか?根本的な部分を大切にというより、あたりまえに捉える彼の言葉は、次の世代へのヒントとなるのではないだろうか。
Text & Interview : yanma (clubberia)

─ まず初めにA.Mochiさんの音楽遍歴を伺いたいのですが、音楽を音楽として意識しだしたのは、いつごろになりますか?

幼稚園とか小学校ですね。泳げたいやきくんとか。

─ 初めて買った音楽は覚えてますか?

自分で初めて買ったのは、中学生くらいの時にロックバンドTOTOのLPです。

─ では最初は、ロックに傾倒されてたんですか?

そんなことはなくてロックだったりポップスだったり、ダンスミュージックだったりなんでも聞いてました。 当時は、雑誌しかなかったんで興味を持ったタイトルを探しに行ったり、あとは、輸入盤のお店に行って買うって感じでしたね。 視聴もできなかったんで、買って聞いてみてアタリかハズレかっていう(笑)。

─ アーティスト活動は、DJが先なのでしょうか?それともトラック制作が先なのでしょうか?

1番最初はバンドですね。Metallicaのコピーバンドなんかをやっていました。

─ バンドを始めたきっかけっていうのは?

仲良かった友達がギターを持っていて、そのうち1本くれて自分の家で弾いてるうちに。

─ では、今みたいにテクノに傾倒していったのは?

ダンスミュージックに1番最初に触れたのは、中学生の時、地元にボーリング場の上にローラースケート場があったんです。そこがディスコみたいになってて、そこでよく遊んでましたね。学校帰りに学ラン着たままジュースを飲んで、でかいスピーカーの前でウーファーの音を浴びたり。

─ 曲を作り初めてどれくらいでリリースされたんですか?

最初は曲を作ろうとか、リリースをしようって目的も正直なかったんです。ただ楽しいからやっていて、たまたま友達からライブアクト中心のイベントに誘われてライブしてみようってなって。

─ では、最初はアーティストを目指して曲を作ってたってわけではないんですね。

そうですね、頻繁にクラブに出演させてもらえるようになってから、一緒にパーティーをしていた友達に「そろそろリリースできるんじゃない?」って言われてリリースしてみようと考えるようになりました。

─ 1番最初にリリースされた曲は?

当初からアナログで出したいという願望があってアナログを出してるレーベルにデモを送ったりしてました。最初のアナログリリースは2006年にLuke Slaterのレーベル"Mote-Evolver"からになります。それより前に決まっていたタイトルが2つくらいあったんですけど、ディストリビューターが潰れたりで契約したらそのまま音沙汰なくなって、2年くらい遅れたものもありました。

─ Francois Kの"WaveTec"のレーベルは?

あれは、デモを聴いたほかのレーベルからの推薦でメールアドレスを教えてもらい、その音源がFrancoisの耳にたまたまとまって。

─ ではLen Fakiのレーベル"Figure"時は?

Luke Slaterのところから出ていたリミックスを聞いて、そういえばLen Fakiっていたなって思って。むかしディスコテクノだったんで、当時彼がやってたレーベルのPodiumとか好きだし送ってみようってなりました。そしたらLen FakiのベルグハインのミックスCDあるじゃないですか?あれに入れたいって話になったんです。最初はミックスCDに入れて他アーティストの未発表曲と一緒にOstgut-Tonからシングルカットする話だったんですが、ミックスCDが延期になって、そうしたら今度Figureからソロで出すのはどう?って話になったんです。ソロで出すのとミックスCDが出るまで待つのとどっちがいい?って言われてじゃあソロでってことになりました。

─ 2010年にアルバムPrimordial Soupをリリースされたわけですが、リリースする前と後で身の周りの変化はありましたか?

地方や知り合い以外からのブッキングが来るようになりましたね。でもアルバムの前にシングルでヒットしたタイトル「Black Out EP」や"Cocoon"からリリースしたLen Fakiの曲のリミックスがあって、そこから地方のブッキングが増えてましたね。そこからWIREやヨーロッパのツアーも決まって。WIREやってヨーロッパに行ってアルバムがリリースされたっていう時間軸です。

─ 今まで何トラックくらいリリースされてきているのですか?かなり多いと思いますが。

レコードは20枚以上あります。リリースが控えてるトラックもありますよ。

─ Figureのジャケットて個性的じゃないですか?あれは誰が作っているんですか?

ベルリンのクラブ・ベルグハインのレーベル"Ostgut Ton"と同じ人がやってます。

─ リクエストとかってするんですか?

いや、こちらからは何も言ってなくて、リリースが近付くとできたよーって送られてくるんです。毎回気持ち悪い絵が(笑)。

─ 個人的な印象ですが、A.MochiIさんのトラックは、「踊る」ということに対し純度を極限まで高めた音楽、そのような印象があります。例えば、薄暗いクラブでひたすら踊っている人を連想してしまうような。何かをイメージしたりして曲を作られているのでしょうか?

たぶん、技術的な問題だと思います。単純にそういうものしか今は作れない。それ以外のことに挑戦するとクオリティーが下がってしまうというか、歌モノのハウスを作ろうとしてもダサイく、世に出しちゃいけない曲になってしまうと思います。 

─ じゃあ今後、別のジャンルに挑戦することは?

う~ん。まだ挑戦する理由が見当たらないという感じですね。今やっていることを極めたわけではないので。

─ 音楽に向き合えってる空間が減っているように思いますが、いかが思いますか?

昔は、クラブがあってそこにレジデントのパーティーがあって、いつ何がやっているか分かったんですが今は、クラブも多いし毎週のように海外から大物から来てるので。

─ 帯で成り立っているのって東京だとHarlemくらいかと思います。

それはそれで、高いクオリティーが維持できて人を楽しませ続けてる証拠ですよね。今、大きいクラブも多いじゃないですか。昔は大きいって言ってもSpace Lab YellowとかLiquidroomとかだったんですけど、また状況が違うのかなとも思います。今は初めて行くってなったらageHaとかWOMBとかになるじゃないですか?最初から狭い薄暗いフロアに行く人は少ないと思いますし、好きになる人は、そこからからからいろんなところに行くようになるとは思いますが。

─ 今までのリリースを遡って考えた時、ご自身の中で変化というのは感じとれますか?

最初ハードテクノを作ってて、そこから音は硬いですがミニマルテクノっぽいことをやろうとした時期が少しあって今に至ります。Len Fakiのレーベルから最初に出した曲を作ったころがミニマル、クリック全盛だったんですけど、既に今のハードな音になっていました。

─ ちなみにA.Mochiさんが影響を受けたアーティストっているんですか?

べたにAdam BeyerとかChris Liebingとか。

─ じゃあ憧れだった人と今、一緒に仕事をしてるんですね。

それは不思議な感じですね。Chris Liebingは、Sound Museum Visionでも共演しましたが、初め共演したのは2010年のフランスのフェスです。その時は、序盤にAphex Twinがやって、Adam Beyerがやって、Chris Liebingの次に自分がやって、最後にLen Fakiという流れだったんです。会場は幕張メッセみたいなとこでしたね。だぶん1万人くらいはいたと思うので、WOMBADVENTUREくらいだと思うんですよね。サブフロアにBusy Pとかもでてました。

─ すごいラインナップですね。緊張されたんじゃ?

その時は特になかったですね。人がいっぱいいるな~って思ったくらいで。WIREの時は、ああいう大きいとこでやるのが初めてだったので最初緊張感がありましたけど。あとちょうど録音もしてたんで、間違っちゃいけないっていうプレッシャーもありました(笑)。

─ 曲作りで大切にしている部分や美意識は、なんでしょうか?

自分が何十回聞いても飽きないこと。そこでクエスチョンになってくると御蔵入りですね。

─ これから曲を作ろうとしている若手にアドバイスを送るとしたら、なんて送りますか?

目標を持ってやるのも良いですが、とりあえず曲作りを初めてみようと思ったらすぐに始めてほしいです。さらに続けてほしいなと思います。自分が作った音で人が踊るってすごいおもしろいですよ。

─ 今年で2回目の出演となりますが、A.MochiさんにとってWIREとはどういった存在なのでしょうか?

テレビでやっているな~、でかいフェスだな~って思ってました。だからそこに自分が出るって想定は全くなかったですね。河川敷で草野球やってる人が甲子園のマウンドに立つとかフットサルをやってる人が国立の舞台に立つみたいな。

─ 2010年にプレイされてみて、いかがでしたか?

自分の名前を叫んでる知ってる声が聞こえたんで、どこにいるんだろうって思いながらやってました。ライブセットなのであんまりフロアを見る余裕がなかったんです。

─ WIREの出演というのは、どのように決まるものなのですか?

前回の時は、WOMBに遊びに行った時に卓球さんに会ったときに「今年WIRE聞いてる?」って言われて。それまで一緒に出演するとかも無かったのでびっくりしました。

─ WIRE以外での卓球さんとの絡みはありますか?

去年は卓球さんがレジデントをしているWOMBのSTERNEやオランダのフェスに一緒に出ましたね。それは、2日間で計6万人くらいだったらしいです。

─ WIREから話はずれるんですか、ベルグハインでやられた時は思うものはありましたか?

1回目出たときは、ここがベルグハインかっ、てくらいでしたね。意外とリラックスしてました。お客さんのノリはすごいいいんですよ。あと外人さんは口笛を吹くのがうまいですね、あと騒いだりとか。そういうのでこっちものせられたりとかで。

─ すごいベルグハインが持ち上げられてますが、実際体験してみてどうですか?

あの大きい規模で、昔でいうManiac Loveとかの雰囲気やクオリティーを保っているのがすごいなと思います。大箱なのにすごいコアな感じでずっとやってるのが。

─ ちなみにキャパはどれくらいですか?

2000~3000くらいだと思うんですよね。いろんな空間がいっぱいありますよ。1階がエントランスで2階がベルグハイン、3階がパノラマバー。

─ 空間演出はどうですか?

照明がすごいですよ。パノラマバーに行く階段の途中に照明のブースがあって、そこで「照明は俺に任せておけ」みたいな人がやってますね。

─ 音は?

すごいですよ。出音はファンクションワンなんで、あのサウンドシステムの音ですね。

─ ちなみにA.Mochiさんの好きなサウンドシステムとかはありますか?

サウンドシステムどうこうってわけじゃないんですけど、日本でやってて1番好きなのは大阪のRockets。あとはWAREHOUSE702とかageHaの音は好きです。

─ Rocketsの音ってどういう音なんですか?

ゴツイですよ。クリアな音が出るんじゃなくて、どかーんってすごい塊が襲ってくる感じです。

─ 今回のWIREでA.Mochiさん的に特にオススメのアーティストはいますか?

Gary Beckはベルグハインで一緒にやった時にWIRE出るよって話をしてたり、自分の曲をリミックスしてくれてたりもしたんで、それで久しぶりに会うのが楽しみですね。あとJesper Dahlbackは、ぜひ見たいですね。彼の曲が好きで。

─ 最後にA.Mochiさんの今後の夢や目標を教えてください。

目標というより曲作りや現場での活動を続ける。そうすると何かが起こかもしれないという状況にいるのが楽しいんです。

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