2010-12-31 UP

DJ NOBU

「DJプレイ」がすなわち「アートフォーム」なのかという問いに対して、ここまでストイックに答えているミックスCDはあまりないだろう。DJ NOBUの音がする、いや、もうそれは彼のミックスCDなのだから、大前提となるハズの言葉だが、それをわざわざ書いてしまうほどの、ここまでのインパクトを持って示されているミックスCDはそうそうない。DJ NOBUの4年ぶりとなる、オフィシャル3枚目のミックスCD「ON」。DJという行為、ミックスCDのあり方に対してさまざまな解釈やテーマはあれど、「DJプレイ」がすなわち「アーティスト行為」「アートフォーム」なのかという問いに対して、ここまで具体的な音でもって答えているミックスCDはあまりないだろう。それはすさまじい迫力と集中力を喚起しながら迫ってくる。

 

■リリース情報
DJ NOBU「ON」
2010-12-22(Wed) on sale
Cat#:MMCD20002
Format:CD
Price:2499 yen
Label:music mine
http://www.clubberia.com/music/releases/3239


Interview & Text : 河村祐介

─ 第一印象では、この音の密度っていうことでいうと、すごい悩んで、作り込んだものかなと思うんですがどうですか?

もう、やりたいことが最初から明確に見えていたから、録音するときに大変だったぐらいで、アイディアとか構成はあっという間にできたんだよね。俺さ、いわゆる純粋なテクノのシーンで育ったわけでもないし、そういう人のテクノ解釈っていうかさ、テクノじゃない曲も収録されてるけど自分というフィルターを通したテクノ、自分たちでパーティーをやっていくなかででき上がったテクノのミックス、それをやりたかった。

─ CDの作品としてリリースされることで、考えたことってありますか?

有名な海外のミックスCDシリーズとかでも、俺からしたら手抜きにしか聴こえないものが多いんだよね。サラっと作りがちというか、あんまり気合い入れて作るような意識ってしてないんだろうなって感じで。でも俺はそういう捉え方じゃなく、ミックスCDを作りたいと思って。

─ とにかくこのミックスCDの率直な感想としては、DJのミックスCDそのものが、NOBUさんが作る作品に本当に直結している感じがあって。こういう言い方をすると「あたり前だよ」って思うかもしれないですけど、やっぱりミックスCDってそこがイコールになってない場合ってかなりあると思うんですよ。本当に自分の出したい音を、ものすごく深く追求しただけっていうのが、ビンビン伝わってきます。

それはそうだね。余計なことやってもね。自分がやれることで、この時間内で最大限に落とし込めるものっていうかさ。

─ はじめの感想としては「No Way Back」とは次元が違うというか。

4年も経ってるからね(笑)。

─ 環境っていえば、この前Technicsのターンテーブルが製造中止になったり、CDJ-2000が出たりとか、いろいろと環境も変わってきてるということに関しては、どう思います?

だから、ここではあえてアナログを使ったというか。アナログ愛は出したいし、アナログという存在に対して恩もあるし、もちろんこれからも使ってくけど。いいものは古いものでもいいし、最近はデータだけでやることもあるけど、最終的にDJがよければ、手法はなんでもいいわけじゃん。今回はアナログをあえて使うことによって、ひとつアナログのよさも提示したかったというか。

─ もちろん、編集なしの一発録りですよね?

もちろん。でも、何回も録り直したけど(笑)。収録時間に収めるための編集はしましたよ。

─ ここ1~2年で、お客さんの反響とかのやりとりの部分って変わったところあります?

あ~、わりと自分がわがままにプレイできるようにはなったよね。

─ お客さんがついてきてくれると。

悪い言い方かもしれないけど、前ほどお客さんに合わせすぎてはない。それでいて自分のやりたい音を出してるかな。俺のDJの楽しみ方もわかってて、それを楽しみにきてるっていうのがわかってる感じがする。

─ 「No Way Back」の「これどう?こんな使い方できるんだぜ?」っていうところから、今回のはもっと揺るぎない自信でもって緻密なショーケースをひとつの流れで作ってる感じがします。お客さんのそういう反応からの自信が今回のCDにつながってきました?

もちろん、もちろん。そのままやっていいんだっていう。

─ あとは「No Way Back」のときとの大きな違いって、ノブさん自体が音を作る人になったわけじゃないですか? その部分での反映ってありますか?

それはないな。それはぜんぜん違う。

─ DJとトラックメイクは違うと。

ただ、自分の曲をこのなかに入れられるぐらい、自分の楽曲を作る能力が高くなったというのはあるよね。それはあのときからの成長でもあるだろうし。

─ DJには揺るぎない自信があると思うんですけど、トラックメイキングはやっぱりこれからって感じですか?

そうだね。まだまだやれることはあると思うし、よくなっていくと思うし。

─ ほかにモチベーションの部分で変化したところってありますか?

やっぱり責任感が大きくなってるよね。なんていうのかな、軽はずみなことも言えないしさ(笑)。DJにしてもなんにしても、もうちょっと深くものごとを考えるようにはなったよね。それはミックスCDの内容にしても出てると思うんだよね。

─ そこの安定感は出てると思いますよ。

シーンを代表するわけではないけど、自分の周りにいろんな人とかいるけど、そういう人に対しても責任感はあるよね。

─ ちなみに「ON」というタイトルは?

スイッチが入るとか、乗っかるとかさ。

─ プラスってことですよね。

そうそう。でも聴くと“ON"って感じでしょ?

─ そうですね(笑)。パキっと景色が変わる感じはします。本当に意志の強いミックスCDですよね。

自分のできることをやっぱり最大限にやらないと、もったないしさ。サラっとミックスCDとか作り過ぎなの多いじゃん。それってミックスCDの価値をどんどん下げるようなことだと思うからさ。もちろん、中にはそこに気持ちのこもったすばらしいものもあるけど。俺にとっては、いまだに7割は退屈なものしか出てないと思うから。なんか、そういうものを出してる人に対して「自分たちの首締めるようなことしていいの?」って思っちゃうから。だからこのCDには「このぐらいやってくださいよ」っていう意味合いもすごい含まれてる。

─ 本当ミックスCD-Rとかすごい量ですよね。

今年のはじめに見たマンハッタンのインタビューとかで、シーンに対して気楽なことばっかり書いている内容が多かったけど、俺はもうちょっと危機感を感じるようなコメントを書いてて、そういうところからして、自分たちをとりまく意識の差っていうのがすっごいあると思う。そういう意識がやっぱり、いろんなところに反映されるわけじゃん? 現場にしても作品にしても。そこの意識の違いは相当あると思うし、この音にも出てると思う。

─ いや、でもアーティストアルバムといってもいいぐらいの密度はあると思います。

ありがとうございます(笑)。

─ すいません偉そうに。

でもさ、アルバムを1枚作るよりも自分がいちばん得意としていることだからさ、本当に考えてやってるしね。

─ DJの部品として提示されている音を組み合わせて、この世界観を作るという意味では、サンプリングで曲を作ることと同じような意味で「アーティスト行為」だと思いますよ。

そうそう。どう調理するかってことだと思うし。

─ アートワークは今回三重でアポロさんが主宰されてるパーティー「ELEVEN」のフライヤーなんかを作ってるSE-1さんが手がけてますが、音そのものっていう感じですが。

この「ON」につながるスタイルが、完全に完成されてきたっていうのが、2009年の三重の「ELEVEN」だったの。それのときのSE-1のフライヤーが「うわ、やっちゃいましたね」って感じで、そのイメージと合致したのね。

─ 万博跡地のドームみたいなところでやったときですよね?

そうそう、オーストラリア館っていうところで。そのフライヤーが「ムー」の表紙をひたすらサンプリングしたんじゃねぇかっていう世界観で、それがパーティー自体の世界観とも通じるものがあって。俺のこともわかってて、「ELEVEN」の流れもあって、アートワークとして表現してくれるんじゃないかと思って頼んで。

─ ビジュアルのリクエストは?

いやそれはなくて、音を聴いてもらっただけで。

─ 本当にそのままですよね。2011年は「Future Terror」の10周年ですけど。

やってることは変わらないけど、お客さんも変わらないしさ。はじめの方はハウスが多くプレイされてたけど、いまはテクノ中心のパーティーが多くなってるけど、単純にどんどんアップデートしてるだけだしさ。あまり具体的には考えてないけど、その集大成っていうのはやりたいよね。

─ 聞くまでもないと思いますが、いまもDJは楽しいですか?

楽しいよ、そりゃ(笑)。

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