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DJ TASAKA

このまま同じことをしてもしょうがないから新しいことを探してきたとか、今後このサウンドがくるからとかでは全然ないし、今までみたいな曲が出来たらボツにしなきゃみたいなことももちろんなかった。今回のアルバムを作る上での前提としては自分が聴きたいものやDJでかけたいもの、それにクラブで作りたいムードに必要な曲を作ろうと思っていた。その思いは前作でもそうだったし、そういう部分では変わっていないかな。ただ、今はこういう曲になって具体的にあらわれたというだけで。 このアルバムが出来上がって、久しぶりに「GO DJ」を聴いてみたんだけど、最後の3曲はすでに今回の作品に繋がるものがあるし、本作のような雰囲気は元々自分の中にあったものなんだと思う。あんまり表立ってなかった部分がようやく出てきたという意識もある。ずっと作業してたわけじゃないけど、通してだとこのアルバムの制作に2年くらいはかけたから、必然的に自分と向き合わざるおえなかった。去年とかは本当に自分がやりたいことが分かるまで待ちながら作業していたから。それで前のアルバムからどんどん時間が経つにしたがって、そのときのモードとかトレンドだけでやってしまうと飽きてしまうと思ったんだよね。この思いっていうのは、今ダンスミュージックをやってる人はみんな形は違えど思っていることだろうと、人の作品を聴いていると思うことなんだけど。だからといって、ずっと聴けるものを作らなければいけないというわけではないけど、ただボツにした曲を聴くと今だけのもの、賞味期限が短いものを省いていた。それは経験を積んだからかな。アッパーじゃないのが今のモードだというのは年齢や経験を積んだことが関係してると思う。 自分のオリジナリティーって何か?を考えてジャッジしたわけではないんだけど、自分は最初ヒップホップが好きになってそれでレアグルーヴを掘るようになってそこからテクノとかをやるようになった自分が反応するものなのかどうかということで、一言で言うと黒さってとこかな、色白だけど。(笑)前は聴いて冷たくなるようなカッコよさ、聴いたときに部屋の温度が下がる感じを求めていた気がするのね、でも今は聴いて暖ったかくなる感じを求めている気がする。 変化は徐々にだったと思うんですよ。その中でもベルリンでの体験というのはデカかったかもしれない。一昨年の秋ぐらいにDJツアーで行って、それが2年ぶりくらいだった。もちろんその前からベルリンのレコードは聴いてたし、音はモノトーンでディープだなと思ってた。ベルリンでのそういう音の体験で象徴的だったのは、DEEP DISHのDubfireの「ribcage」という曲。それがどこ行ってもかかってる時で、それがデカかったかな。昔から知っているような曲なんだけど、コアな部分が剥き出しのままの曲というか。その体験があって、その時にあった曲が10曲くらいできたけどまだ中途半端だという気がしちゃって出そうと思わなくなったし今の方向性が固まった気はしますね。ただ、その2年前のベルリンの体験とかを置いておいても俺はずっと前からこういうアルバムが作りたかったんだとは思った。それはファーストを出してる時もそうだし、その前のDJだけやってて曲を作ってない頃から。20歳くらいの頃に聴いてたリスニングとダンスの中間みたいな部分で好きなもの。それって機能性だと思うんだけど、小さい音でかかっていてもOKだし大きな音で聴けばより中に入っていける音楽というか、このアルバムが完成してみてそういうのが作りたかったんだと思いましたね。あとはDISCO TWINSがあることによって、そこで色んなゲストを呼んだりして色んな極端なことを出来るというのもある。それはKAGAMIの中にもあると思うし、それがあるからそういうサウンドはDISCO TWINSでやれるし、そっちのほうが良いと思った。そう思ったことによって、(今回のソロはこういうサウンドでやることを)迷わずに済んだ。この方向性はこっちのソロで延ばせばいいと思ったからね。 まずは一回このアルバムを聴いてみてもらいたい。DJ TASAKAのサウンドのイメージはテンポ早くてファンキーで、ちょっと笑えるサンプルとかが入ってくる感じの音楽だよねと思っている人にこそ、フラットに接してもらえたら….。でも、今は自分を理解して欲しいというのではなく、こういう風に機能する音楽があることを紹介したいというのはあるかな。 自分では今回のアルバムは前回のアルバムより豊かな音だと思っていて、生活を豊かにする音だと。自分はこうだうんぬんではなく、こういう音楽を聴きましょうよという気分かな。自分がこういうモードだとアピールしたいわけでもなく、快楽性の趣向の違い。より深いほうが楽しいじゃんっていうさ。分かる奴だけ分かればいいとも思ってないし、このアルバムだって全然フィジカルだし難しいことをやってるつもりもないしね。短距離走が長距離走になったとでも言えばいいのかな。