「Red Bull Music Academy」は、その名の通り"Red Bull"が主催するミュージックアカデミー。これまでベルリン、トロント、ロンドン、メルボルン、ケープタウン、マドリッド、昨年はニューヨークと世界中で行われている。数千通を越える世界中の応募から選ばれる才能豊かな参加者と、講師として招聘される著名なプロデューサーやミュージシャンたちとともに、ワークショップ、スタジオ・セッション、クラブナイトなどを行い、才能溢れるアーティストたちを支援している。2011年にマドリッドで行われたRBMAの現地取材も行ったが、まるで違う時間軸、空間に居るような感覚を覚えるほどだった。詳しくは、過去の「Red Bull Music Academy Madrid 2011」特集をご覧頂きたい。

■Red Bull Music Academy Madrid 2011特集
http://www.clubberia.com/ja/features/feature-72-red_bull_music_academy_madrid/


RBMAはその参加者の中から、世界的に活躍しているアーティストも数多く輩出している。一部をあげるとすると、Flying Lotus、Aloe Blacc、Hudson Mohawk、ONRA、Dorian Conceptや、日本人ではAkiko Kiyama、Kez YM、sauce81、Yosi Horikawaなどが参加している。もう1つ特徴的なのが、講師陣の豪華さだ。Steve Reich、M.I.A、Chuck D(Public Enemy)、Jeff Mills、Sly & Robbieなどがレクチャーを行う。これらの名前を見ると、この取り組みがいかに文化水準の高いところで行われていることが分かると思う。


今回は、そのRBMAが「Red Bull Music Academy Weekender Tokyo」と題した都市型フェスティバルを行うわけだが、この都市型フェスティバルは東京を含め、ロンドン、マドリッド、ストックホルムと世界4カ国で今後2ヶ月にわたって行われる。世界4カ国の中に選ばれたことも特筆すべきことだが、何よりも文化支援をするRBMAらしい切り口のラインナップが見所だろう。音楽、文化といってもさまざまあるが、今回行われるのはアートに隣接する音楽である。全7イベントが予定されているが、そのどれもがクリエイティビティ溢れている内容になっている。まさに「Red Bull Music Academy Weekender Tokyo」は、今年もっとも注目すべきイベント/フェスティバルの1つである。



日本を代表する寺院「築地本願寺」の本堂で、コンピューターミュージック世代の音楽家が挑む、まったく新しいオーケストラコンサート

ハウスシーンにおいて現在最も高い人気を誇るアーティストと言えるHenrik Schwarzの代表曲を日本の若手交響楽団(27人編成)が演奏する。これだけでも十分なトピックスなのだが、そのパフォーマンスを行うのが日本を代表する寺院「築地本願寺」の本堂というのには驚きだ。彼の代表曲をオーケストラ向けにリアレンジして最初から作り直した、コンピューター・ミュージック世代の音楽家が挑む、まったく新しいオーケストラコンサートであると同時に、日本の伝統的なロケーション、ドイツ最先端のプロデューサー、日本の交響楽団、これら3つの要素が重なるとどのような空間を作り出すのか、初日にしてもっとも注目してほしいイベントだ。

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ダモ鈴木 (ex. CAN) のキュレーションにより前衛アーティストが集結。灰野 敬二、Omar Rodrguez-Lpezなど総勢20名のミュージシャンによる即興パフォーマンス

旧・西ドイツの前衛的ロックグループCANのボーカリストであったことで知られるダモ鈴木がキュレーションを務めるイベント。ノイズ・実験音楽および現代音楽を代表する灰野敬二、世界を代表する個性派ギタリストOmar Rodrguez-Lpezなど総勢20名で長時間に及ぶ即興演奏を披露する。またSF映画の原点とされる1920年代のサイレント映画「Metropolis」のサウンドトラックを独自の解釈で演奏する即興パフォーマンスも予定されている。「Red Bull Music Academy Weekender」の中で、もっとも前衛的なプログラムには違いなく、あなたの音楽の概念を覆すものになるかもしれない。

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LAのdublabスタジオからDJ&ライブを生中継するほか、Daedelus、Frostyを招聘しLAの空気感を渋谷に移植。さらにジャズベースのゴッドファーザー鈴木勲とDJ Kenseiのセッションまでも実現

渋谷"WWW"ではネットラジオdublab.jp協力のもと、狂人的なまでのビート実験を続けるDaedelusと、dublab主宰のFrostyを招聘。それぞれのライブ&DJのほか、2人のプロジェクトであるAdventure Timeのスペシャルライブも披露。またLAのdublabスタジオから生中継でDJ&ライブをリアルタイムに届けられる。日本からは、ジャズベースのゴッドファーザー鈴木勲とDJ Kenseiのセッションも見逃せない。その他にもイルリメによるラジオスタイルのDJ、SIMI LABのOMSBとHi'Specのライブも予定されている。このプログラムならではの企画として、日本で最も重要なラジオDJであるPeter Barakanを招き、dublabのFrostyと共に、音楽ラジオの魅力と可能性を語るトークショーも開催と、一夜そのものがスペシャルなラジオ番組となっている。

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レコードフェア、ブックフェア、フードフェアなど、上質な音楽と五感で楽しめるカルチャーフェアが入場無料で開催。さらにDJ KRUSHとDJ Cosmoによるトークセッションは必見。

音楽、本、食事など、まさに文化の秋ならではのプログラムが表参道のギャラリー"BA-TSU ART GALLERY / Gallery COMMON"で日中から行われる。"JAZZY SPORT"や"Lighthouse Records"など厳選されたレコードショップ10店舗以上が参加するレコードフェアや、音楽を軸としたセレクションで展開するブックフェア、野外でのフードフェア、レジェンドDJたちのスタジオ写真を収録したレア写真集「BEHIND THE BEAT」のフォトディスプレイなど、上質な音楽と五感で楽しめるカルチャーフェアを入場無料で開催される。そして目玉は、DJ Cosmoによる名盤リスニング&トークセッション・プログラムで、DJ KRUSHをスペシャルゲストに迎えて過去の名盤を聴きながら、さまざまなエピソードを語るファン必見の企画も。まさにRBMAによる贅沢かつ濃厚なカルチャーフェア。

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Gilles Peterson、Alex Barck (Jazzanova)、沖野修也、松浦俊夫からFaltyDL、Korelessまで。国内外の著名DJたちがジャンルをクロスオーバーさせ極上のグルーヴを奏でる

これだけのジャズ/クロスオーバー系のアーティスト/DJが一堂に介するのも珍しい。英国が誇る音楽の革命家Gilles Peterson、フューチャージャズユニットJazzanovaの中心的な役割を果たしてきたDJ/プロデューサーAlex Barck。Thom Yorke、Four Tetなどが絶賛する逸材FaltyDL、彼を押えずしてUKベースは語れないであろうKoreless。日本からは、説明不要の沖野修也、松浦俊夫、日本を代表するビートメイカーgrooveman Spot、さまざまなジャンルを吸収しトリオでの可能性を追求するCro-Magnonがスペシャルライヴを披露と、一夜にしてジャズ、ソウル、ヒップホップ、ハウス、ダブ、ファンク、レゲエなどあらゆるジャンルを楽しめるラインナップとなっている。

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最先端のエレクトロニック・アーティストが計40組以上も出演する電子音楽の祭典。さらにRBMA恒例のレクチャーにはCarsten Nicolaiと砂原良徳が登場。

前衛音楽から誰もが口ずさめるポップソングまでを包括する希代の音楽家ヤン富田、電子音響の名門〈raster-noton〉のNo.1&2であるCarsten NicolaiとByetoneによるユニットDiamond Version、坂本龍一とのコラボレーションでも知られるFenneszなど2日間にわたって計40組以上の確かなアーティストが出演する。そして、イベント前には、Carsten Nicolaiと砂原良徳によるレクチャーも行われる。彼らの制作秘話や音楽に対する姿勢、日々の制作活動で何からインスピレーションを受けているのか?などアーティスト本人から貴重な話を聞くことができる貴重な機会だ。

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「Red Bull Music Academy Weekender Tokyo」の締めくくりは、ディープハウス界のポリティシャン、DJ Sprinklesが最終日の夜をロングセットにて盛り上げる。

世界中のサウンド・クリエーター/リスナーからリスペクトを受ける日本在住のアーティスト、Terre Thaemlitz a.k.a. DJ Sprinklesが4日間にわたって開催された「Red Bull Music Academy Weekender Tokyo」に幕を下ろすわけだが、貴重なロングセットということもあり、多くの注目を集めそうだ。しかも、会場は恵比寿"Time Out Cafe & Diner"なので、クラブやフェスでのセットとは違ったプレイを楽しめそうだ。入場無料というのも嬉しいポイントだ。

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