人口約175万人、ドイツ北西部に位置する港湾都市、ハンブルグ。ハンブルグ港は12世紀の都市計画の中で生まれ、16世紀中頃以降は欧州で最も重要な貿易港となり、現在でも大型船の停泊地としてヨーロッパで2番目に大きい港となっている。
あのビートルズも下積み時代に活動していたというこの街の音楽シーンは、アンダーグラウンドの雰囲気が漂い、なぜか身近な感覚にさえ思えた。この街からは、エレクトロニックミュージックシーンからもたくさんのアーティストが生まれ、ひときわ異彩を放っている。
昨年、僕はこの街にヨーロッパツアーで訪れたときに、たくさんの人と会っていろいろな話を聞いてきた。長く語ると終わりが見えないので簡単に言い表すと、少なからずとも僕の出会った人たちからは「共有」「共存」「共同」というテーマが感じ取れた。僕自身、18歳のころに世の中をまったく知らないときに「俺たちで何か創ろうぜ」的な純粋な気持ちだったことを思い出させてくれた。
さて、今回のclubberia features 64ではこの街を支え、この街から発信し続けている3組にインタビューを敢行した。
1組目はドイツ最大の音楽ディストリビューターである「wordandsound」。2組目は、ここ最近のディープハウスムーブメントの象徴と呼ばれる存在となった、レコード屋兼レーベル「Smallville Records」。そして3組目は、80年代からこのシーンを見続けてきた最重要クラブ「Golden Pudel」。この街の音楽シーンに決して欠かすことのできない、それぞれの歴史やエピソードを語ってもらった。

Text : by Yasuo Takata