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Public Enemy

'82年結成。オリジナルメンバーはチャック・D(Chuck D)、プロフェッサー・グリフ(Professor Griff)、フレイヴァー・フレイヴ(Flavor Flav)とDJターミネーター・X(DJ Terminator X)。後にプロデュース集団ボム・スクワッド(The Bomb Squad)の頭領となるハンク・ショックリー(Hank Shockley)のビートに大学在学中のチャック・Dがレコーディングしたはじめての曲が後のヒット曲"Public Enemy No.1"となる。

デビューは'87年にDef Jamからリリースされた"Yo! Bum Rush the Show"。タイトル曲や先述の"Public Enemy No. 1"、"You're Gonna Get Yours"などはヒップホップクラシックとなった。続くセカンドアルバム"It Takes a Nation of Millions to Hold Us Back"('88)では、元々強かった政治に対するメッセージ色がさらに前面に打ち出されるようになり、ハンクの織り成す「ノイズ的」とされたサウンドがそのインパクトをさらに増幅させ、"Don't Believe the Hype"や"Bring the Noize"、"Louder Than Bomb"等と共に、当時のヒップホップ/ラップシーンに音楽的にもリリック的にも強い影響と変化をもたらした。

1989年にはスパイク・リー監督作品の"Do the Right Thing"にクラシックチューン"Fight the Power"で参加。続いて"Welcome to the Terrordome"、"Brothers Gonna Work It Out"に"911 Is a Joke"を収録したアルバム"Fear of a Black Planet"('90)をリリース。そのリリース前にはグリフの「アンチユダヤ人」ととられる発言が問題になり、グリフはグループから脱退してしまったが、グループ自体その政治的な色の強いメッセージスタイルは変えることはなかった。

その後にリリースされた"Apocalypse 91...The Enemy Strikes Black"('91)では時代の変化を読み、外部プロデューサーやバンドサウンドを取り入れ、グループのサウンドにまた新しい風を呼び込んだ傑作を制作。ロックバンドのアンスラックス(Anthrax)と再レコーディングした"Bring the Noize"やC.L.スムース(C.L.Smooth)がフィーチャーされた"Nighttrain"、その相方ピート・ロック(Pete Rock)の代表作とも言えるRemixバージョンも人気の"Shut'em Down"、ファンクテイスト溢れるヘビーチューン"Can't Truss It"等のクラシックが収録されている。

その4枚目のアルバムが全米チャートも上位ランクインするも、その後のチャック・Dのトラブルなどの影響などもあり、B-サイドコレクション盤と位置づけた"Greatest Misses"('92)や、今では傑作と名高い5枚目のオリジナルアルバム"Muse Sick-N-Hour Mess Age"('94)が商業的に失敗。これにより一時リリースから遠ざかり、Def Jamからのサントラ"He Got Game"('98)を最後に、最終的にはDef Jamから離れる事となる。

以降は'99年にインディーレーベルAtomic Popからアルバム"There's A Poison Goin On"をリリースし、シングル"Do You Wanna Go Our Way???"もマイナーヒット。続く"Revolverlution"('02)では、ディストリビューションはインディーレーベルの雄KOCHに任せると共に、チャック・Dらが自ら立ち上げたサイト"Slamjamz.com"でダウンロード配信から、彼等の過去の代表曲のRemix制作コンテストまで、と様々な実験を通して、常に時代に対して鋭敏である彼等らしい作品を作り上げてきた。最近でも著作権についての新しい考え方であるクリエイティブ・コモンズに賛同する企画盤、"Wired"に楽曲を提供するなど、社会派としての活動を続けている。