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emancipator

hyde out

NUJABESが見出した若干21歳の才能。美しく、儚く、暖かく・・・珠玉のメロディーに酔う。
自らをemancipator=解放者と呼ぶ、Douglas Appling、若干21歳。1987年に米国ヴァージニアに生まれ、幼少期、無類のレコードコレクターである父、幼い彼の手を引いてヴァイオリン教室に通わせてくれた母に影響を受け、彼は音楽の世界に興味を持つようになった。生まれ育ったヴァージニアの郊外は、土色のあぜ道、ミズキが生い茂る森など、豊かな田園風景が広がる。自然と人が共存する美しい環境下で彼は「有機物への感謝と敬意」を学び、そのレッスンは何年か先に音楽制作において重要なファクターとなっていくのであった。

影響を受けた音楽はジャズ、エレクトロニカ、ヒップホップ、クラシック、フォークなど多岐に渡る。ジャンルを飲み込みながら透明度を保ち、生楽器やサンプラー、エフェクターを通して表現されるスタイルは独特な温度感を有する。そんな彼の楽曲が初めて注目されたのは、Sigur RosとMobb Deepの楽曲をremixした”Shook”を自身のサイトにアップさせた頃だろうか。同曲はサテライト・ラジオKEXP 90.3 FMでヘヴィープレイされ、The Hype Machineのサイト上でも大きな注目を集めるのであった。

2006年、地元で精力的にライブ&制作活動を続ける彼の音楽人生に大きな転機が訪れる。あのNujabesが彼の才能を見出したのだ。翌年、Nujabes主宰のレーベルHydeoutからリリースされた“Hydeout's 2nd Collection"にはCL Smooth、Five Deez、Shingo 02、Uyama Hiroto、Nujabesと並びEmancipatorの“With Rainy Eyes”が収録され当時19歳のアーティストが奏でる美しいギターアルペジオは大きな話題を呼んだ。

そして2008年4月、遂にHydeoutからアルバム"Soon It Will Be Cold Enough"がリリースされた。ダウン・テンポ、チルアウト・トラックで構成された作品集は、21歳とはとても思えない表現力を発揮しながら、美しさ、儚さ、暖かさを有機的に結晶させている。日常で感じる郊外の冬の美しさが描かれた音でありながら、その生活で求めなくてはならない暖かさが同時に表現された傑作だ。