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SO - clubberia podcast 098

CB 098 - SO

SO (Mindgames / LABYRINTH / TRI-BUTE)

仙台出身の32歳。本業デザイナー。クラシックピアノ12年の経験を経て、スタートしたDJキャリアも14年目。これまでageHa、WOMB、 yellow、Air、UNITと言った都内主要クラブから、海外ではポルトガルのBOOM FESTIVAL、ドイツのVOOV EXPERIENCE、オーストラリアのRAINBOW SERPENT等に出演。現在は近年大きく頭角を現し、昨年10周年を迎えたアンダーグランド系野外フェス「LABYRINTH」のレジデントDJとして活動中。ソフトでグルーブ感のある楽曲を中心にセレクトし、常にそれらの親和性を意識しなら選曲。個々のミックスに注力しながらも、全体としてスムーズでエモーショナルなセットに仕上げる展開力はこれまで様々な舞台を踏んできた経験値の賜物であろう。DJとして、オーガナイザーとして、プロモーターとして、ますます勢いにのるSOの今後の活動から目が離せない。

 

■SO twitter
http://twitter.com/satoshi_aoyagi

 

■SO facebook
http://ja-jp.facebook.com/people/Satoshi-Aoyagi/100000069640000

 

[トラックリスト]

01. Ripperton - Leonor's Lanugo
02. Lawrence, Seth Troxler - Miles In Aphrika - YouANDme Edit
03. Pier Bucci, Matthew Styles, Oblique Strategies - Antofa
04. Lasik - Angel Shadow
05. Gregor Tresher - Through The Shadow Glass
06. Cbass, Mikobene - Super Pussy (Pablo Bolivar Remix)
07. Motorcitysoul - Vivid
08. Phonique - Fake It (Frankman Remix)
09. Scuba - Loss (PRECISE MASTER)
10. Theodor Zox - Fading (Vincenzo's Phantom Image Mix)
11. The Black Dog - CCTV Nation (Slam Mix)
12. Dave DK - Will Be Gone

[インタビュー]

―まずは自己紹介をお願いします。これまでの経歴などを教えて下さい。
SOです。本業はデザイナー。趣味はサッカー。
なぜ「SO」かって、よく聞かれるんですが、名前が聡(サトシ)なので、それを音読みにしただけです・・・。とくに深い意味はありません(笑)

高校時代までを地元仙台で過ごしたのですが、高3のときに通ってた予備校で知り合った先輩が、ハウスのDJをやってて、その影響で自分もDJを始めました。当時まで僕は、クラシックピアノやらブラスバントや、UKロックバンドやら、演奏するほうの音楽を中心にやっていたので、「DJっていったい何してるの?」って思っていた類です。音楽的にクラブミュージックが・・・っていうことよりも、オタク気質なので、BPMを合わせて異なる楽曲をミックスする、という作業におもしろさを感じたことが、DJをスタートしたきっかけです。

その後大学に進学して、千葉を拠点に仲間たちとパーティーを始めました。「TORRID ZONE」って名前で、津田沼とか船橋の小箱で細々とやってたのですが、最終的には渋谷の"vras"という箱に落ち着きました。そこで出会ったのが当時そこのマネージャーをやってたDJ Sodeyamaだったりします。それから新宿の"CODE"でやってた「Joker」というモンスターパーティーのレジデントとなり、その時代を経て徐々に音楽的嗜好もプログレッシブトランス系へと変化して行きました。

当時プログレッシブトランスといえば、「Stargate」というパーティーがあり、自分の憧れだったのですが、お誘いを受けて一緒にパーティーを創ることとなり、看板DJのSalや、同じくレジデントのEttooと共に超体育会系のハードコアな時代を過ごしたのは、今となっては良い思い出です。(笑) 

また、このころMina、Joe、Batchが中心になってオーガナイズしてた「蟲の響」という野外パーティーがあり、これにも参加してました。マンスリーで野外パーティーをやろうという新たな試みで、音楽に限らず、映像、空間演出など、毎度毎度個性的なアーティストが集結し、本当にコンセプチュアルなパーティーでした。 http://twitpic.com/64qv2m 2年に渡るこの時代を経て、Batch、Matsunamiと3人で「TRI-BUTE」というパーティーをスタートしました。"La Fabrique"から始まり、"AIR"、"WOMB"、"ageHa"、"MADO LOUNGE"など、毎回会場や規模を変え、環境に変化を付けていきながらも、常に新しい音楽を提供するというコンセプトで、シーンに一石を投じることができた活動でした。

さらに、現在も続く野外フェス「LABYRINTH」のレジデントDJになったのもこの時代。普段はあまり自分から営業することはなかったのですが、オーガナイザーのRussと、あるパーティーで出会い、このときばかりは朝用/夜用、という2枚組のミックスCDを超気合い入れて作って彼に渡したのがきっかけでした。思えばそれから9年。LABYRINTHというパーティーには本当に感謝してて、たくさんの素晴らしい思い出があります。 http://twitpic.com/64qvgd

こうして14年間を振り返ると、やはり何かときっかけになるのは野外パーティーであり、それなしには語れないDJライフだったなぁと強く思います。長くなりましたが・・・。

―Russさんと、「あるパーティーで出会い」とありますが、それはどのパーティーですか?また気合いを入れてミックスCDを2枚制作するほど、そこに何らかの思いが生まれたのだと思うのですが、実際初めてRussさんと会ったとき、どんなことをお話して、なにがSOさんをそこまでさせたんでしょうか?当時のことを振り返るといかがですか?

Russと会ったのは、千葉のゴルフ場でやった野外パーティーでした。その前年のLABYRINTHに出演していたShiva Chandraがそこの出演してたこともあり、Double Dragonの紹介で知り合いました。
もともとLABYRINTHというパーティーの評判は聞いていたので大いに興味があり、やはりDJとしてやっていく上で「何かしらのレジデントDJでありたい」という想いはありましたが、勝手ながら「それがもしLABYRINTHだったりしたら最高だなぁ・・・」なんて妄想してました。なかなかないチャンスということもあり、選曲の幅の広さをきちんと伝える上でも、コンセプトを分けて2枚のCDを作りました。一応本業がデザインということもあり、CDの盤面も含めて自分のプレゼンテーションだと考え、当時のショボいデザイン力ではありましたが、それぞれにジャケットのグラフィックまで付けて渡したのを覚えてます。 http://twitpic.com/64qvkl

―ミックス制作に使用した機材や環境を教えて下さい。

自宅でレコーディングしましたが、Macbook Pro / Traktor / Pioneer DJM-400 / SL-1200MK3Dを使用しました。MacでDJするようになったのはここ1年。バイナルで育った世代なので、懐かしさもあり、インターフェースはターンテーブルを使ってます。毎度毎度コンコルドを持参したりとか、いろいろ面倒だけど、けっこう好きです。

―かなりたくさんのギグが入っているかと思うのですが、実際毎月何本のギグをこなしているのでしょうか。

波はありますが、最近は平均すると月に3~4本ぐらいでしょうか。
東京以外の地方ギグが3割ぐらいだと思います。


―これまでで一番思い出深いパーティーを3つと、その理由を挙げて下さい。

一つ目は2001年にやった「震天動地」。当時千葉で活動してた無名のDJたちが中心になって15人ほど集まり、「みんなでレイヴをやろーぜ}という話になりました。場所探しから始まり、千葉県の海岸線をドライブしながらパーティーができそうな場所をひとつひとつ訪ねて回り、ついに発見したのが九十九里の南方に位置する長生村という場所でした。DJも全員スタッフ。エントランスやら駐車場の誘導をしたりとか、(Matsunamiとか相当頑張ってたなぁー 笑)すべてが手作りでした。当日、真夏日となった会場には予想を遥かに上回る約3000人ものお客さんが集結。とにかくこれまでに体感したことのないフロアのパワーにただただ圧倒されたことを鮮明に覚えてます。このころはGMSとかLogic Bombとかかけてたなぁー・・・(笑)。何よりも特筆すべきは、エントランスが500円だったのですが、さすがに3000人来るとそれなりの収益が上がります。当時、まだ若く純朴だった僕らは、経費を除いたその利益の全額(たしか200万円弱)をユニセフに寄付したのでした・・・。今じゃ考えられないその善行。何にせよ、中心になってみんなをまとめてくれたKuni君という人が非常によくやってて、彼の考えに誰もが賛成してました。これはもう一生忘れないと思います。

二つ目は2006年に出演したポルトガルの「BOOM FESTIVAL」。このときはほかに「VOOV EXPERIENCE」や「TSHITRAKA FESTIVAL」など、ヨーロッパ4カ所を回るツアーとして行きました。「BOOM」で一番驚いた点は、何もないデザート(砂漠)の真ん中で3万人規模のパーティーをやっているにも関わらず、すべてが非常にオーガナイズされていて、5日間本当に心地よく過ごせたことです。アーティストには区画に分けられたテントがあり、食券、ドリンク券もすべて日数別で3枚ずつ用意され、40度の灼熱の下にも関わらず、ビールは常にキンッキンに冷えていました。DJで緊張することは余りないのですが、さすがに景色の奥まで続く人の波を見たときは、緊張しましたねーー。あんな大舞台でDJすることは、もうないかもしれません。 http://twitpic.com/64qvnu

最後に、今年で11周年になるLABYRINTHですが、一番思い出に残ってるのは2008年に川場キャンプ場で開催したときでした。完全にオーガナイザー視点ではありますが、このときはいろいろな問題で野外パーティーが厳しく取り締まられた年であり、自分たちの健全さをアピールしようが、開催に際しては非常に多くのハードルが課せられました。とにかくパーティー中に何か問題が起きやしないかと常に気を張っていて、音楽がどう、天気がどう、雰囲気がどう、なーんてことよりも、「無事に最後までパーティーが続いてほしい」という一心でほとんど寝ずに3日間を過ごしました。最終日の夕方になり、「あぁ、もうあと数時間で、このパーティーも無事に終わる」と思ったそのとき、Russや多くの仲間たちが笑顔でフロアで踊ってる姿を見たときに、うれしさで感無量となり、柄にもなく思わず涙してしまったわけです・・・(恥) http://twitpic.com/64qv92

DJという仕事は、音楽をかける仕事ですが、幸いいろいろな場面でオーガナズに関わる機会がありました。お客さん視点とは違い、創り手側には当然さまざまな苦労があります。寝る間も惜しんで死ぬほど忙しいときもあるんだけれど、やっぱりやめられないのは、クサいかも知れないけれど、会場で見る仲間たちの笑顔だったり、終わったあとの達成感だったりします。ただただ呼ばれてDJするだけでは味わえない、たくさんの経験がこの14年間を本当に豊かなものにしてくれたなー、と感じています。

―次の目標は何ですか?
何でしょうねー。むずかしいんですが、もう決して若手ではないので、場数を増やしたいとか、大きいメジャーなパーティーに出たいとか、そういう願望は余りなくて、なるべく共感できるようなパーティーに少しでも関われたら、と思ってます。ザックリですが・・・。

そういう意味で、自分が舞台に立って目立つことよりも、トータルで何かをプロデュースしたり、あとは多少なりとも自分が培ってきた知識や考え方を、若手のがんばってるDJたちに伝えられたりしたら、それはそれでうれしいなと思います。何だか偉そうで恐縮ですが・・・(笑) ま、せっかくここまできたので、カズみたいに、少しでも長く、精一杯続けられたら良いですねー。

https://www.pioneerdj.com/ja-jp/product/software/wedj/dj-app/overview/