田代 純

BBQ

1993年、マンハッタンレコードにて、レコ屋人生スタート。買い付け要員、ハウスバイヤー、その他管理職を経て15年に渡ったヴァイナルオンリー生活に終止符。現在はレーベル/音楽流通に転職&業種を変え、いささか年齢を感じながらも良質の音楽を探すべくアンテナを磨く日々。

2016年総括

 早いもので2016年も終了。毎年このコラムで、その年の総括や翌年の展望などを書かせてもらってきましたが、今年で5年目・・いろいろあったなぁと、思わずしみじみしてしまいます。
 そんな2016年、自分が最も印象に残った出来事の筆頭は、著名アーティストが次々と急逝したことでしょうか。モーリス・ホワイト、プリンス、デヴィッド・ボウイ、年末駆け込みでジョージ・マイケル等々、洋楽ポップスの顔ともいうべく世界的スターたちが他界してしまいました。2016年ほど、年間通して有名アーティストの訃報が絶えなかった年はなかったかと思います。
 そして一方、新譜などリリースものに目を移すと、EDM派生のポップや80’sブギーを模したサウンドは今年も健在かつかなり定着したご様子です。今年はとりわけマーケットを動かすような革新的なものは生まれなかった印象ですが、強いて挙げられる新しい動きとしてはトロピカル・ハウスがようやく認知されてきた模様。マーケット的にはメジャー志向なEDMからの流れを汲むかたちかと思いますが、よりハウシーなBPMは個人的に親しみやすいし、こういった新カテゴリーの台頭は市場が活性化してくれるので歓迎すべきムーヴメントでしょう。それと2016年というか、ここ1、2年の動きで、個人的に最近かなり気になっているのが国内のシティー・ポップ的なムーヴメント。サチモスを筆頭にするジャミロクアイなアシッド・ジャズ・サウンドや昭和な雰囲気を感じさせるAOR系ポップ・サウンド。一周して、新しい世代が消化しているのかと想像しますが、これがいい味を出しているし、続々とその手のバンドが出現しています。そして、そこに呼応しているわけではないと思いますが、海外からもそういった音が多々入ってきているところも面白い動きです。まぁ、ここ最近和モノが海外でトレンドになっているということで、その流れが多少なりともありそう。こいつら日本の昭和シティー・ポップを知っているのか?!ってほどオマージュされた作品もあるほどで、昭和歌謡リアルタイムの自分としては興味深い動きです。2017年はこの辺のジャンルが国内勢はもちろん、海外勢がどうなっているのか、かなり期待したいところです。